第164話 衝撃の事実と明日の勝負
パネルスイッチ解読組と後片付け組で二階へと向かうと、家電等の設置が終わったメンバーも気になったのか、結局メンバー全員が二階に集まった。二階には八畳ぐらいの部屋が六つあるが、全ての部屋の天井に星が映され、ゆっくりと回っていた。
「プラネタリウムではないと思うが………」
確かに美紅さんが言うように、プラネタリウムっぽくはない。何か効果があるとは思うが、何なのかは全然分からないな。
「折角全員集まったので、部屋決めをしてしまいましょうか?まずは世那さんと美紅さんは同室で良いですか?」
「ウチはええで」
「私も問題ない。恵梨花も一緒の部屋にするか?」
「サブマス、それは遠慮しときます。もっと歳の近い子と一緒が良いです」
「ウチの方が歳は近いんちゃうか?」
「クラマス、それは無理がありすぎますよ。私、今年で二十四歳です。麟瞳さんと同い年ですよ」
えっ、何で僕の年齢を知っているんだ?
「麟瞳さんビックリしてますね。私も国立京都ダンジョン高校出身で、同じ学年です。同じクラスではなかったから知らなくて当然ですけど」
「えっ、恵梨花は同級生だったのか?」
「実はそうだったんです。ネタバレすると、この前の住之江ダンジョンに行く前のスキルを確認する時に、麟瞳さんが奈倉さんと《百花繚乱》でパーティを組んでいたと聞いて、私も麟瞳さんと同級生と知ったんです。高校時代は《百花繚乱》は有名で、周りの皆の憧れのパーティでしたよ。《百花繚乱》と奈倉さんの名前は誰もが知っていたと思います。すみません、麟瞳さんの名前も聞いたことがあったと思うんですが、忘れてました」
「そうだったんだ。まあ、僕を知ってるのなんて《百花繚乱》マニアぐらいだよ。そんな人がいるのか分からないけどね。でも衝撃の事実っていうやつだね。恵梨花、高校時代の話を今度しよう」
「はい、楽しみにしておきます」
いやー、ビックリだね。同じ年齢でダンジョン探索者を目指して関西在住なら、そりゃあ京都のダンジョン高校に進学するよね。恵梨花はユニークギフト所持者だ、もしも同じクラスだったらパーティを組んでいた可能性が高いと思う。僕も正輝達とクラスが違えば《百花繚乱》に入ってないだろうし、ちょっとしたことで運命って変わるんだなと思うよ。でも、今は部屋決めが先決だね。
「じゃあ、世那さんと美紅さんは何処の部屋が良いですか?」
「何処でもええけど、それを言うとったら決まらんから、階段側の部屋にさせてもらうわ。美紅、ええか?」
「ああ、問題ない」
詩音のアイテムボックスの中から、部屋の中にベッドを二つと寝具を二セット出してもらう。
「正輝と僕で一室使わせてもらうから、残りの四部屋を話し合いで決めてほしい」
「先にリーダーと正輝さんの部屋を決めて、ベッドをセットしておきましょう。私達は後で話し合って決めます。何処が良いですか?」
「僕達も階段側が良いから、世那さん達の隣かな?正輝はどうだ?」
「俺もそれで良いよ」
同じくベッドを二つと寝具を二セット出してもらい、その後下の階へと皆で降りて行った。リビングルームのソファーやテーブル、テレビ等は既に配置されていた。最後にリビングルームで明日のことについて話し合おう。おっと忘れるところだったよ。今日手に入れた魔石はちゃんとチャージしてもらった。
「誰か飲み物を用意してくれないか?ここで明日の確認をしておこう」
全員の希望を取り、飲み物が用意された。僕はアイスコーヒー、いつも通りだね。
「これから今日のお茶請けを出していきます。一人ずつ渡していきますね」
僕はサービスエリアで購入した岡山で最も有名なお土産のきびだんごを手渡していく。フッフッフッフ、これを受け取って食べるとどうなるか皆知っているよね。
「麟瞳、どうしたんや?またおもろい顔しとるで」
「いや、なんでもないです。じゃあ食べながら明日の予定について確認していきますね」
「麟瞳さんが何を考えているのか、大体想像できるわ。きびだんごを食べたら家来になるとでも考えていたんでしょ」
うっ、何故バレたんだ。真姫は鋭いなー、気をつけておこう。
「明日は、今日三つに分けたパーティで五階層のボス部屋攻略を目指すけど、ボス部屋までは全員で固まって探索するか、別々に探索するかをまず決めよう」
「別々に探索してどのパーティが一番早く六階層に到着するか勝負したら面白いと思うな。龍泉さん達はAランカー三人のパーティだから、ハンデをつけさせてもらわないと勝負にはならないだろうが、賞品も何か用意すれば盛り上がると思う」
「美紅、それおもろいな~。麟瞳達のハンデをどうするかやな」
「麟瞳さん達は、携帯ハウスが登録していない人に見えるか見えないかを確認してからスタートするというのはどうでしょうか?多分、美紅さんが言っていたように見えないと思いますが、確認が必要だと思います」
「Bランクダンジョンの探索ですよ。そんな勝負をして焦って探索したら危なくないですか?」
「明日はウチらがついとんや、危なくなるわけないやろ。でも、ボス部屋以外は手を出す気ないけどな」
「私も同じだ。あくまでも君達が強くなるための手助けをするためにここに来たんだ。危ない場面とボス部屋以外は手を貸さないと約束しよう」
「でも、どうしたら見えるか見えないかを確認できるんですか?」
「それを教えたらハンデにならないじゃない。パーティメンバーの三人で考えてね」
「なんかよく分からないっすけど、世那様と美紅様が楽しそうだから賛成っす」
詩音の賛成表明から、あっという間に勝負することが決まってしまった。
「じゃあ、賞品はどうするんですか?」
「あのー、発言して良いですか?」
遠慮がちに遥が手を挙げた。
「遥、そんなに遠慮するのは無しにしよう。遥以外も積極的に発言してほしい。ここにいる十四人は、世那さんと美紅さんも含めて福岡ダンジョンの探索中は仲間だ。もう一度言うけど、遠慮は無しにして自由に発言するようにしよう」
「はい、了解です。ボス部屋を攻略したら必ず宝箱が出ますから、その三つの宝箱から出てきたものを早く六階層に着いたパーティから選べることにするのはどうでしょうか?」
「でも宝箱の中身は大体一つの物しか入っていないぞ。明日の遥は五人パーティだったよな、それで良いのか?」
「宝箱の中身を選べるのはええな~、それに麟瞳が言うとった高級フルーツをつけるのはどうや。明日の食後のデザートを麟瞳がキャッチした物から選べるようにしたらおもろそうやで」
「それだと僕のメリットがないと思うけど………」
「そこはクランマスターとして頑張るしかないだろう。クランメンバーのやる気を引き出すのも大事なことだぞ」
「分かりました。トレントモドキからは高級フルーツをゲットする予定でしたから、皆のために頑張ります。一番良いものを十四個手に入れたら面白くないですから、一番高そうな物から安そうな物に三段階に分けましょうか?一番早く六階層に着いたパーティから高い順に渡しましょう」
これでやる気に繋がるのなら良いのかな?僕達が一番になっても文句は言わないでね。
「疲れているだろうが、五階層までの情報は全員確認しておくように。部屋決めもあるから大変だと思うけど、寝不足にならないようにしておいてね。世那さんと美紅さんは先に風呂に入って休んでください。世那さん達の後に正輝と僕も風呂に入らせてもらうよ。明日は七時に朝食にしよう。皐月はちゃんとおきるんだぞ。じゃあこれで解散にしよう」
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