第99話 姫路ダンジョンの一階層から五階層を攻略
拠点にした家から姫路ダンジョンまでは歩いて五分だ。全員ダンジョン装備に着替えて探索者センターまで徒歩で移動する。ダンジョンの近くに住んでいる方々も見慣れているのか、真っ黒装備の二人を含む怪しい十人の集団をスルーしてくれている。
姫路ダンジョンの探索者センターは人気があるようで入場受付も順番待ちだ。
「真姫、依頼の納品はどうすればいいんだ。探索者センターを通さずに依頼は受けているんだよな」
「依頼は探索者省から全クラン向けの依頼としてだされている物の中から選ぶことが出来るんだけど、その選んだ依頼には期限と納品方法が指定されているのよ。今回は期限は設定されてなくて探索者センターに納品することになっているわ。だから買取り受付に依頼票を見せて納品したら依頼達成となるのよ」
「もし期限以内に達成できなければ何かペナルティーはあるのか?」
「ペナルティーがある依頼もあるけど、今回は運が良ければ達成できるものだから、期限はなしで沢山のクランが受けている依頼なのよ。所謂早い者勝ちね。だからペナルティーはないわ。ペナルティーがあればクランマスターの麟瞳さんに確認するわよ。今回も確認するべきだと思うけど、早い者勝ちの面があるから急いで来ちゃったわ。ごめんなさい」
運が良ければ達成できる依頼だから受けたのかな?クラン《花鳥風月》にとっては一番自信のあるところだからね。折角の初依頼だからしっかりと達成したいものだ。まあ期限もないから気楽だし、達成できるような気はしている。
順番が来て手続きを終わらせ、練習場でストレッチをして身体をほぐす。
「真姫、幸運のミサンガの効果はどんな感じだ。岡山ダンジョンに行ってるんだろ」
「麟瞳さんのスキルほど凄い効果はないけど、大学のサークルで探索していた時よりもドロップアイテムが良くなっているわ。具体的には魔石は普通よりも二割増しぐらいにドロップするし、他にもポーションや武器類もたまにドロップするわ。約束通りポーションはクランで保管しているから安心して」
いよいよダンジョンに入場する。先に《千紫万紅》がパーティ登録をして転移の柱から一階層に転移した。続けて《桜花の誓い》も転移してセーフティーゾーンで話をする。
「ここからは別行動だ。午後五時に探索者センターで落ち合おう」
《千紫万紅》の四人で最終確認をする。
「詩音と皐月は暗視ゴーグルでちゃんと見えるようになっているか?」
「オレはよく見えるぞ」
「私も大丈夫っす。リーダー、用意してくれてありがとうっす」
「美姫は当然見えているよな」
「勿論です。凄い効果ですね。買って良かったと思います」
「僕達は予定通り探索をしていくよ。予定より人が多いから魔法は気をつけて使うようにしよう。ドロップアイテムには注意してね。小さい鉱物もドロップするから、拾うときには魔物に要注意だ」
探索を開始した。先頭は皐月で僕、美姫、詩音の順番で進むが、ある程度自由に動き回っても良いことにしている。
『右側に十匹ぐらいの集団だ。誰もいないから僕達がもらおう。美姫、先制攻撃だ』
『了解しました!』
念話が終わるや、たちまち魔法弓で攻撃する。それを合図に僕と詩音でアリに近づく。流石Cランクダンジョンだ。一階層からソルジャーアントも混ざった集団、ワークアントを刀で切り倒している間に詩音がソルジャーアントに槍を突き立て始末していた。早速鉱物がドロップしているが、宝石はないようだ。
『皆、宝石はキラーアントがドロップすることが多いと以前聞いたことがあるのを思い出したよ。キラーアントを倒したときには特に注意してね』
探索を続ける。ソルジャーアントは沢山出てくるがキラーアントには出会うことなく五階層のボス部屋に到着した。順番待ちは二組いる。後に並んでボス部屋攻略の確認をしておく。周りに人もいるので念話を使う。
『ボス部屋の中は三十匹程の集団で、マザーアント以外は全部出てくるんだよな。刀の雷魔法で最初に一撃入れても良いか?』
『どのくらいの効果があるのか分かりませんから、いっぺん見ておくのもいいと思います』
『オレも良いぜ』
『私もオッケーっす。そのかわり討ち漏らしはもらうっす』
しばらくして順番が来た。周りから見たら大人しく順番を待っているように見えるだろうが、念話でいろいろと話をして退屈することなく待つことが出来た。
いつも通り、ボス部屋には僕を先頭にして入っていく。四人が入り切ると扉が閉まった。戦闘の開始だ。ソロで探索するときのしかもボス部屋でしか使うことの出来ない大技を発動する。刀に魔力を流し全力で横薙に振り切る。雷が音を立てて魔物を襲う。一瞬で攻撃が届きすべての魔物がいなくなった。
「リーダー、耳が痛いっす。よく聞こえないっすよ。ヒール」
詩音の回復スキルを初めて見たよ。そこまでダメージを負わないだろうと思うが、詩音は皐月も回復する。
「リーダー、しばらくはこの技封印でお願いしまっす。耳栓でもしてないと、こちらがダメージで倒れてしまいまっすよ」
「またまた〜、詩音も大袈裟だな〜。そんなことはないだろう。僕は大丈夫なんだからね」
「リーダーと美姫が大丈夫なだけっす。ヘルメットのお陰じゃないっすか?私と皐月は大ダメージを負ったっす」
「ほんとに耳が痛いぜ」
僕も耳が痛かった。こちらは慣用句の方だ。二人ともゴメンね。
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