第79話 美姫の相談
土曜日と日曜日は自動車教習所で教習を受けた後に、倉敷ダンジョンで練習プラス肉の補充の日だ。技能教習は一日に二時間までと決まっているので、両日とも二時間ずつ受けた。学科教習は制限はないが、精神的に我慢の出来る二時間を頑張って受講した。
倉敷ダンジョンは土曜日に十六階層から二十五階層まで探索して、二十一階層と二十六階層の転移の柱に美姫が登録をすることが出来た。ボアの肉も大量に手に入れることが出来て美姫も嬉しそうにしていた。
日曜日には倉敷ダンジョンを完全攻略することが出来た。まだレアモンスターを僕達に擦り付けた犯人が捕まっていないので気にはなったが、やはりもう犯人はこの世にはいないのかもしれないな。
美姫にはビッグボアに向かって爆裂の矢を射てもらったが、予想以上の威力に二人で驚いてしまった。この威力がないと倒せない魔物と出会うのだろうか?間違いであってくれれば良いのだがどうなるだろうか不安に思う。残念ながら爆裂の矢は矢筒でコピーをすることは出来なかった。
宝箱からは調理道具のマジックアイテムが出てきた。美姫は頑固に肉だけ三割貰うと言い張るので僕が貰うことになった。
五階層しか探索していないので時間も早い。美姫が相談があるというので《桜花の誓い》が探索後の反省会に使っていたファミレスに行って話を聞くことにした。
「リーダーがこの前言ってた話のことに関連していることなんですが、パーティに加入出来るかテストをしてほしい人がいます」
「美姫の知り合いなのか?美姫が推薦してくるなら有望で、人格も問題ないんだろ。喜んでテストさせてもらうよ。どんな人なんだ?」
「名前は
またもや女性のようだ。もう諦めの境地に入ってきたな。
「ポジションは何処になるんだ」
「ユーティリティープレイヤーというか、どんな役割でもこなせます。アタッカーでもタンクでもヒーラーまでも出来ます。でもメインは張れません。サブポジションとしては優秀だと思っています。性格的にも明るくて前向きです。今は少し落ち込んでいるようですが、一度会って一緒に探索してもらえれば良いところが分かってもらえると思います」
「美姫がそこまで言うなら会わないわけにはいかないな。都合のいい日を決めてくれると良いよ」
「分かりました。リーダー、ありがとうございます。詩音に良い報告が出来ます」
それからパーティの今後の活動等について話をしてからファミレスを出た。
家に帰るともう晩御飯の準備は終わっていて、僕の帰りを待っていたようだ。
「帰りました。待たせてゴメンね」
「いや、大丈夫だ。全員揃ったし、御飯を食べよう」
早速父さんはビールを飲んでいる。例の大山のビール工房で買ってきたお気に入りのビールである。
「麟瞳は、最近忙しそうね。教習所はどうなの?」
「まだ始めて三日目だからね、技能教習は楽しく出来るんだけど、学科教習が大変だよ。教官が睡眠魔法を使ってきているようなんだ。かなり手強いよ」
「馬鹿なこと言ってないで頑張るんだよ。うちの運転手として期待しているからな。麟瞳が免許を取った時には家族全員でお祝いだ」
両親共に飲ん兵衛だから、僕が免許を取ったら外食で飲み放題とでも思っているのだろう。その時はしっかり運転手をさせていただきます。
「綾芽は最近どんな活動をしているんだ」
「学校も九月の文化祭が終わればある程度自由になるし、それまでは倉敷ダンジョンの探索をすることにしているよ。十月からは、お兄ちゃんが夏休みの計画のもう一つの案として言ってた尾道のDランクダンジョンに挑戦しようという話になっているの」
「ダンジョンの中では気をつけろよ。この前のレアモンスターのようなこともあるからな。僕もレアモンスターと戦ったことでパーティメンバーから怒られたよ。ああいう時のために帰還のマジックアイテムがあるのにすっかり存在を忘れていたよ。全くどうしたんだろうな。綾芽も帰還のスクロールを持ってるだろ。ああいう時に使うアイテムだ。ボス部屋の中でも使えるから危険な時には迷わず使えよ」
今日の晩御飯はマグロの漬け丼に貝のすまし汁、それにお漬物がついている。当然僕の丼は大盛りだ。マグロの漬け丼にはすり下ろされた長芋がかけてあり、その上に大葉の千切りが見た目を美しく、味を爽やかに仕上げている。あっという間にお腹の中へと消えていった。ごちそうさまでした。
食後はリビングでのマッタリ時間だ。ダンジョン産の桃と梨を食べながら談笑する。
「母さん、今日倉敷ダンジョンの宝箱から出てきた調理道具があるんだ。受け取ってよ」
出てきたのはフライパンと大きめの鍋だ。自動洗浄効果が付いていて手入れが楽になるマジックアイテムだ。
「麟瞳、いつもありがとね。美味しいご飯をこれからも作るよ」
フライパンと鍋についてしっかり説明しておいた。自動洗浄の有用さは前に渡したマジックアイテムで実感している。今回も有り難いと喜んでいた。
明日も岡山ダンジョンをパーティで探索する。ソロで探索していたときよりもやり甲斐を感じ、楽しく探索出来ている。明日も良い一日になるように願って、安眠3点セットを着けて眠った。
※※※ ここから後書きです。本編とは全く関係ありません※※※
いつも読んで頂きありがとうございます。
たくさんの応援いつも心強く感じています。
応援コメントにも書いて頂きましたので、ここからは【改訂版】と以前に小説家になろう様に投稿させて頂いたものとの違いについて、少し書いていきます。興味のない方はスルーして下さい。
話に違いがあるのかというコメントを頂きましたが、話の流れを変えるようなことは今後もしません。
以前書いたものは、予想を上回る多くの方々に読んで頂きました。続きを楽しみにしているとたくさん感想を書いて頂きました。でも、結構な数の批判コメントも頂きました。
この【改訂版】では、折角書くのなら少しでも良いものにと思い、悪いところを直そうと思ったんです。ですが、結局今まで全話を直しています。
最初はチョチョっと直せると思っていたんです。簡単な作業と思っていたんです。それがこんなに時間がかかるとは………。
失礼しました。どうもネガティヴ西湖さんが乗り移って来たようです。
実際に少しずつでも全話直しています。
大きく直したところは多分三つです。
一つ目は、正輝と麟瞳が岡山ダンジョンに行った時の最初のボス部屋です。元々の話ではパーティを組んでもいないのに、一緒にボス部屋に入っているんです。読み直してビックリしました。別々に入るようにしました。
二つ目は、美姫のしゃべり方です。元々の話では、真姫と美姫の会話がどちらが話しているのか分かりにくいとご指摘頂いたので、今回は美姫の方を変えさせてもらいました。真姫の方を変えると面白味に欠けると思い、美姫の方にしました。
そして三つ目は、美姫が福岡にいる時に所属していたパーティの攻略階層です。元々は五十階層で失敗にしていたんですが、一年で五十階層だと優秀過ぎると感じて、三十階層で失敗にしました。
大きな変更はこの三点だと思います。もしかしたら他にもあったかもしれませんが、あったらすみません。
あとは元々の話では二話に分けていたものを一話に纏めているものが多くなっています。
突然ですが、皆さんは一話の長さはどれくらいが良いと感じていますか?
私は二千字から三千字が適切だと感じています。
あまり短過ぎても物足りないですし、長過ぎても読む時間がかかり過ぎます。まあ面白い話ならいくら長くても良いんですけどね。
この【改訂版】では、わざわざ分けていたものを纏めた為に、四千字を超える話が多数あります。麟瞳以外の視点で数話書きたいと思い一話に纏めたのですが、ちょっと調子に乗り過ぎてしまいました。
読者の方に読みづらくさせてしまった上に、後五話分も誰かに登場してもらわないといけなくなりました。………反省しています。
これらが違いになると思います。
第百四十九話からが本当の意味での続きになります。しか〜し、まだ一話も書けていません。直しに時間がかかり過ぎるんだよねと一応言い訳をしておきます。
冗談はさて置き、本当に一話も書けていないんですよね。五話分の別視点の話も………
今後も楽しみだと励まして頂いた方に、少しでも楽しんで頂けるようにしていきたいと思っているのは本心です。頑張ります!
これからも【改訂版】最弱ユニークギフト所持者の僕が最強のダンジョン探索者になるまでのお話をよろしくお願いします。
亘善
追伸
多分なんですが、一箇所だけ麟瞳を鱗瞳としてしまっていると思います。失敗したと思い探して見たんですが、自分では見つけることが出来ませんでした。もしも見つけた方はご一報をお願いします。もしかしたら一箇所ではないかもしれません。りんどうの変換で鱗瞳が一番最初に出て来るんです。恐ろしや〜。
※この話を投稿した後に、寝て起きたら鱗瞳問題が解決していました。皆様、お騒がせいたしました。ご協力ありがとうございました。
追追伸
応援コメントは全て読ませて頂いてます。返信しなくて申し訳ありません。
【罠探知】スキルは第五十六話で、【罠解除】スキルは宝箱を開ける時にいつも使っていますが、活躍はもう少し先のお話まで待ってください。
ほら、さっきの応援コメントも本当に読んでいますから。今私はドヤ顔になっていると思います。
その応援コメントにて、第二話の真中祐希の会話中の関西弁についてアドバイスを頂きありがとうございました。
ちょっと前に本編を直させて頂きました。
これから少し後の話になりますが、関西弁をバリバリに話す方が登場します。私は岡山生まれの岡山育ちの為、エセ関西弁使いです。
関西人にとって許せない言葉使いが多数出てくると思います。広く大きな心でアドバイスをお願い致します。
読んでる途中でイライラして、決してスマホやパソコンを破壊しない様にして下さい。苦情は負いかねます。
これも冗談ですよ。本当にしないで下さいね………
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