ガチ鬱学歴コンプのラブコメ
ささちゃん
第1話 地獄のモノローグ
僕は小学校時代、みんなが遊びまくってる時に勉強をした。
同級生が毎日公園に集まってゲームを楽しそうにしているのを見て、それを羨ましいと思いながらも必死に勉強した。
そうして、第一志望の男子校に合格できた。
みんなが同じように血の滲むような努力をする激戦区の中、見事合格を勝ち取れたのは本当に奇跡だと思った。
本当に努力が報われて良かったと思って感動して合格発表の日には泣いたし、親も泣いて喜んでくれていた。
この合格は自分の努力だけで勝ち取ったものではない。
学習塾に高いお金を払って入れてくれたり、受験前に気遣いをしてくれた親のお陰でもあると、そんな優等生じみたことを本気で実際に思っていた。
クラスの同級生や担任に沢山の褒め言葉を貰い、本当に幸せ者だと自分のことをそう思った。
それからはあっという間で、小学校生活は終わり卒業式になった。
大半は同じ渋谷区の公立中学校へ入学するので、半数は中学校でも同じメンバーだ。
しかし、僕はここでお別れ。
別に泣いたりはしなかったが、悲しかったし、公立中学校に行くのに泣いてるやつはなんなんだと疑問に思ったりもした。
それからはすぐに中学の入学式が始まった。
新しい制服を身に包み、期待を膨らませた。
校長などの話が終わると、1人ずつ、名前が呼ばれる。
そろそろ僕の番だ。
「十代終太郎」
「はい!」
僕は元気よく返事をした。
後ろの保護者席の方ではカメラを持った両親と妹が見ている。
何度もしつこいかもしれないが、幸せだった。
そうして入学式も終わり、割とすぐに遠足、体育祭もあったということで友達もある程度はできた。
こうして、楽しい学生生活が始まった。
そうであったはずなのに…。
気づいたら学校に行くことを嫌と思うようになってしまっていた。
つまらない、つまらない、つまらない、つまらない。
公立中学に進んだ同級生は彼女ができたりしていた。
LINEのアイコンをツーショート写真にしたのを見て気づいた。
そんな時から思い始めた。
こんなに必死に勉強したのに、そのまま公立の中学校に進んだ友達の方が何倍も楽しそうだと。
自分の場合は中高一貫校なので、大学に入るまで男子しかいない環境で過ごすことになる。
いつしかアオハルだの、胸キュンだのそんなテーマのテレビ番組にに殺意を覚えるようになった。
別に共学に行っていたら彼女ができただろうとかそんなことは思っていない。
ただ同じ空間に女子がいるだけで全然違うだろうと考えていた。
中学受験はせず、公立の中学校に通った一つ下の妹もとても毎日充実していた。
入学後1回も家で勉強をしていないので、この時もうすでに成績はどん底まだ落ちていたが、必死にまた勉強して大学に入れたとしても学歴だけを見て、高校で違う男と色々とシた女性が、『付き合ってもいいよ』というスタンスで近づいてくる。
こんなことがあってもいいのか。
いつしかこんな最低なことばかりを考えるようになっていた。
周りもなんというか脳の構造が違いそうな秀才がいたりして、自己肯定感は低下し続けた。
補修にも行かず、なにも考えずにただひたすらに朝の6時くらいまでゲームを毎日した。
何度か親も呼ばれ、三者面談もしたが、それでもゲームをやめられなかった。
そんな中学3年生のある日、ついに担任に高校進学は不可能と言われた。
そうして、僕はどこかの高校を受けなければいけなくなった。
しかし、内申点はボロボロ。
もうどうしようもなかった。
あんだけ嫌だったら学校のはずなのに、急に愛着が湧いてきた。
だけどもうなにもかも遅かった。
もうどうすればいいのか分からず、虚無感の中、ただひたすらにゲームをした。
この学校に入るためにここまで親が積んだ金額、自分が入学を辞退すれば入れた本気でこの学校に行きたかった補欠合格の人、そのようなことを考えては吐きそうになっていた。
そうしているうちに高校受験の前日になった。
流石にこの日は朝の4時くらいまでにはゲームをやめて寝た。
一発勝負だった。
この学校は一応、その周辺では進学校と言われている私立学校だったが、中学校と比べるとそうでもなかった。
しかし、自分が在籍した中学のおかげで30点加点してくれるとのことだったので、この学校だけとりあえず受けることにした。
英語、数学、国語の試験を受けて、英語は感覚ほぼ0点に近いと思ったが、なにも焦らないし、ショックを受けることもなかった。
大体数日くらいで合格発表はきた。
なんと合格していたのだ。
親も自分もとりあえず入学先が決まって、一安心という感じだった。
そうして時は過ぎ、今日は僕の高校の入学式だ。
新しい制服を身に包み、中学の友達のことを思い出しながら1人遠い目をして歩いていた。
これから、どうなるのだろうか…。
ガチ鬱学歴コンプのラブコメ ささちゃん @sasacha4852
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