絶対強者の現代帰還〜全てを壊した勇者の物語〜
湯豆腐
第1話 帰還
異世界転生やら異世界からの帰還と聞いたら何を思い浮かべるだろうか?
強い力で無双してヒロインとイチャイチャ?
魔王を倒して英雄に?
最強のまま現代帰還?
ああ、なんと夢のある話だろう。
俺はそうはいかなかったが。
壞「おっはよ〜〜!誰もいない家〜!ただいま〜!亡くなった母さん父さん〜!」
声の響く無駄にデカい家で俺はそういう。
俺は
壞「さあ〜!今日の朝食はなにかな?なにかな?わ〜お!びっくり!黒焦げのトーストに焦げた目玉焼き!腐った牛乳だ〜!!どれもまずそう〜!」ムシャシャ
壞「わ〜!味がしな〜い!えい!」グサ
ポタポタとフォークを刺した手から血が流れる。痛みは無かった。何も感じなかった。
俺のスキルによって。
壞「今日も駄目か…」ボソ
壞「さあ!片付けなくちゃ!破壊!」
そう言うと失敗作の朝食は粒子になって消えた。
これが俺の目覚めたスキル「破壊」。
この世に存在する概念から物質も無かった事に出来る能力だ。
ある日突然勇者として召喚されて、やれ魔王を倒せや、やれお前は勇者だ言われた俺の気持ちがわかるか?
それでも頑張ったんだぜ?
道中、同じ志しを持つ仲間と出会って、絆を深めて、冒険して、偶に喧嘩して、美味い物の食って笑い合って。
正に理想の旅だった。そして遂に魔王を倒した。
だが!王国の連中は用済みとして俺を始末しようとした!!そもそも帰る術もなかったんだ…
不意打ちで一斉攻撃を受ける中で、あいつらは命を懸けて俺を守った。
そして死んだ…俺の中で何かが壊れた。
そして目覚めた「破壊」に。
それから俺は異世界に存在した全ての生命を破壊した。
人間を最後にして。あいつらには壊される恐怖を最後まで味あわせ続けた。
全てをこわした後、俺は家に帰ってきた。
両親は幼い頃事故で死んだ。
以来俺は生前両親が買ったデカい一軒家で独りぼっち。爺ちゃん婆ちゃんも早くから亡くなって…それでも生きているのは俺を庇った仲間に申し訳ないからだが。
壞「明日は何食べよ、何食べたらまた味がわかるかな〜?」
今は取り敢えず感覚を取り戻す事だけを目的として生きている。
仲間を奪われ全て壊した男、
これは彼が自分で捨てた物を取り戻す物語。
過去の呪縛からの解放の物語た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます