受付・5

したいこと。

全部「ズルイ」って言われた。


もらった物。

全部「ズルイ」って言われた。


行きたいところ。

全部「ズルイ」って言われた。


アンタダケ、ズルイ。


……カラ、ウマレテキタダケナノニ、ズルイ。


ズルい、ズルイ、ズルイ…


じゃあ…しない。

じゃあ…いらない。

じゃあ…行かない。


なのに、おとうさんとおかあさんは「いいんだよ」って。

なのに、…ちゃんは「ズルイ」って。


「ななみ……しちゃだめなの」

「え?」

「ななみ、ズルイからしたいこと、しちゃダメなんだもん!」

うわぁぁあああああああああああああ────っ!!



「おい」

大きな声で泣く七海とオロオロする輝のすぐそばで、その声はした。

二人がそれぞれビクッとしてそちらを向くと、また妖精王が立っていた──が、何故か王様の服ではなく、スーツを着ていてまるで会社員のようである。

だけど──

「……おうさま?」

「ああ……うん、まあ…そんなものだ」

ヒック、ヒックとしゃくりあげながら七海が訪ねると、『おうさま』はキュッと口を結んでから頷いてから、くるりと輝の方を向いて注意した。

「まったく……見れば・・・わかるだろう?『子ども』にそんな聞き方しても、わからんだろう?」

「え…い、いえ……あの…でも、ですね~……」

輝は頼りない声でふわふわと漂うように『おうさま』に近付き、先ほどまで何かを書き込んでいたファイルを手渡して言い訳をする。

「渡された質問表……どうしたって大人の女性向けじゃあないですかぁ」

「む」

渡されたそれをチラリと見て、額に手を当てて溜息をついた。

「もう!社長だったら、どうするんですか?!今日の依頼だって、本当は社長が!!」

「……それでも『子供』だというのだから、『子供向け』に項目を置き換えて、質問もそう変化させるんだ……なるほど……」

「いらい……?」

どうやら『おうさま』と『おねえさん』はお仕事の話を始めたらしいということはわかったが、その内容を理解することはできない七海は首を傾げた。



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