想像と創造
彼方しょーは
其ノ壱 海と少女
青々とした空、サンサンと大地を照らす太陽の下、海はキラキラと輝いている。
その砂浜に1人の少女が倒れていた。黒髪に白いワンピースを着ていて、純粋無垢の少女と言ったイメージが良く似合う。しかし、目を閉じている。寝ているのだろうか?その姿は神秘さすら感じられる。
ザァーと波が寄せては、少女の足を濡らして引いていく。まるで、好きな人の気を引きたくてイタズラをする子供のようだ。
「……ん」
太陽の光の眩しさ故か、はたまた波が少女の気を引くことに成功したのか。ともかく、少女は目を覚ましたようだ。
「眩しっ」
目を開けてまず飛び込んで来たのは太陽の光だろう。少女は眩しさに目を顰めて、手をかざす。
次に、少女は辺りをキョロキョロと見回す。前方には綺麗な海の景色。その場所には少女しか居ないようにも感じられる。
しかし、後ろに振り向けば、整備された道路を車が走っている。さらに道路の向こう側は家々が建ち、普通の街並みが広がっている。
しばらく見回した後、少女は立ち上がった。
「ん?」
何かに疑問を持ったのか濡れた足をじっと見つめている。そして、足を上げて下ろし、砂浜を踏みしめる。その行為を何度か行った後、少女は首を傾げた。
「私、何してたんだっけ」
少女は眠る前の記憶が曖昧になっているようだ。
「何か、忘れてる気がする。お母さんに頼まれたお使いとかかな?いや、そんなの無かったよ」
現実と混同するほど壮大で現実味溢れた夢でも見ていたのだろうか。少女は何とか思い出そうとして、う〜んと唸っている。何故か、海が無性に気になるのか、海を見つめている。正確には、海の奥深くだろうか。
「覚えてないってことは、大したこと無いんだよ!うん、とりあえず家に帰ろっと!」
少女は思い出せないなら仕方がないと開き直り、自分の家へと歩いていった。
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