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『この闇と光』という本に出会った頃、私はまだ彼を知らなかった。ただ、『この闇と光』を読み込んでいくうち、これより好きになる小説には一生出会わないだろうと思った。その頃、私は第一志望だった公立高校で、父の出身校でもある高校に通っていたにも関わらず、自ら作り出した闇の中に座り込んでいた。高一の秋だった。
そして、私は大学生になった。数か月前。
私が通っている大学は南側大学。中部地区では上位の有名私立大だった。
学部は理工学部で、数学や物理、プログラミングなどが学べる場所を選んだ。
南側大学の側にはもう一つ大学がある。
私にとって最も近く、最も遠く感じる大学。
それが北側大学。南側大学の北側にある大学だ。
日本で最難関と言われている旧七帝大のうちの一つで、私が高校時代、いや、きっともう少し前から強い憧れを抱いていた大学だった。
彼は、北側大学の理学部に現役合格し、同大学の数理学科の修士課程を卒業している。
彼は私の高校の数学教師で、高二のときの副担任だった。
彼も私にとって最も近く、最も遠く感じる。
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