ずっと好きだった人が結婚すると聞いたので
白宮 つき
第1話
中学生の頃からずっと好きだった人がいる。私、光織 未愛(みつおり みあ)はずっとその恋を終わらせられないままいる。
「未愛ー!大ニュースだよ!」
こちらに向かってくるピンクのふんわりとした髪を揺らすモデル体型の美女は、私の幼馴染で唯一の大親友、愛染 結衣(あいぞめ ゆい)だ。
「結衣、そんなに慌ててどうしたの?」
走ってきた結衣は、息を整えてから私の肩をつかむ。
「誠くん!結婚するんだよ⁉︎」
思わず言葉を失ってしまった。確かに同じ大学に入学していたけど、私にとって伊佐音 誠(いさね まこと)は意識的に排除していた話題だ。
(誠の話題は全部耳に入れないようにしてたし…。結婚するんだ…。)
「そっか、まだ大学生なのにね。学生結婚ってやつ?」
言い方に棘が出ないように、とぼけたように言葉を返す。
すると結衣が真剣な顔になる。
「未愛、本当にこのままでいいの?絶対後悔するよ!私は未愛に後悔して欲しくないよ!この前告白された時も、まだ誠くんのこと忘れられないから断ったんでしょ?」
(幼馴染って隠し事できないな…。)
「でも、もう結婚するのに。今更だよ、結衣には話したでしょ?誠は私のことなんとも思ってないのに、迷惑なだけだよ。」
自分で言って、自分で傷ついてしまうのが嫌になる。
結衣の優しさを素直に受け止められない自分が恥ずかしくて、思わず下を向く。
「未愛ってせっかく可愛いのに、いつも自信なさそう…。やっぱりあの時のこと気にしてるんだよね…。だからこそ、今よりもっと!すっごく綺麗になって誠くんを見返してやろうよ!どっちにしても今のままじゃ、他の人と付き合うにしても吹っ切れないよ!」
私の為に必死に言い募ってくれる未愛をみて、思わず口にしていた。
「そう…だよね?別に今更、誠とどうにかなりたいわけじゃないし…。私もこのまま前に進めないのはだめだよね。私、頑張ってみる!」
「うん!私も協力するよ!未愛の招待状ももらっておくから、一緒にがんばろ!」
「ありがとう!」
結衣の必死な様子に押されたこともあるけど、心のどこかで誠に最後に綺麗だって思ってほしいという下心も大きかったと思う。
(結局あんなことがあっても、誠のことまだ好きなんだよね。綺麗な姿を見せて、誠の結婚する姿を見れたら、本当に諦められるよね?)
まるで、諦めるための言い訳のように私は心の中で呟き、高校生のあの出来事を思い返していた。
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