思い出が色褪せないように

メンくん

~1章~

卒業式が終わった。


「よし!みんな最後の授業やるぞー!」


「えー!?」


卒業式が終わって写真撮影タイムだとみんなが思っていた時、先生が突然言い出した。


「今回は特別な授業でテーマは空だ!」


そして先生は力強く話し始めた。


「みんなのこれからはな、夜空に例えることができるんだ。夜空にはたくさんの星があるだろう?その星はみんなが歩む道だよ」


僕らの道……


「夜空には数えきれない程の星がある。それと同じでみんなにも数えきれない程の道があるんだよ。いくつもの分かれ道だ。そして今その分かれ道にいる」


「みんなここで違う道をいくんだ。違う星へ羽ばたくんだ」


普段ならみんな呆れた顔で話を聞いているが今日は違かった。


「分かれ道というのは別れ道でもある。今まで過ごしてきた仲間たちとの別れだ。きっとそれは今まで青く輝いてきた人ほど悲しいものになるはずだ」


青く輝く、それはきっと青春のことだろう。青春を楽しめば楽しむほど仲間との友情が芽生え新しい出会いがある。でも新しいものをたくさん得るとその分別れが辛く感じる。きっと先生はそう言いたいんだろう。


「でも別れがあれば出会いもある。そして別れたとしても必ずどこかで繋がっている。別れというのは悪いものではないんだよ」


「今まで青春をきてきた子、今まで怖くて青春をきてこなかった子色々いると思う。だけどな今日で人生の中の1つが終わるんだ!とにかく楽しめよ!!」


「俺は!今何十年も前の友達の声が蘇ってくる!いつまでも残ってる!君たちもそうなった時後悔しないようにするんだぞ!」


先生の目から涙がこぼれそうだ。


「昔を思い出した時、俺はこう思った。黒歴史を作ってもいいからあの時もっと楽しんでおけばよかった!!大人になったらあんなことできないからな!!」


先生は涙を流していた。


「卒業式が終わった後打ち上げとかするんだろ?そこで思う存分楽しんでこいよ!!そしてお前らが20歳になった時タイムカプセルの場所で会おう!!」


先生が話してくれた言葉は僕たちの心の何かを変えてくれた。


「先生……」


学級委員長が声を出した。


「私たち、これから最高の青春をします。だから先生は私たちと最高の青春をしましょう!!」


みんな一瞬学級委員長の言葉にビックリしていたが、すぐにみんな同じ顔をした。


「そうだよ先生!青春楽しめよ!」


「どこいく~?」


「楽しもうぜ~」


みんなの心は「あの人と行く」「この人と行く」なんかじゃない。


「全員で行く」


そして


【誰も見捨てない】


「お前ら……」


「先生泣きすぎでしょっ!w」


「なさけねーぞw」


「大人を泣かせやがってよ!w」


そう。


みんなこの時は怖がってなかった。何も恐れていなかった。


本当ならクラスで1人は必ず行動することに恐れている人がいる。


行動することによって悪口を言われたり失敗したりすることが怖いんだ。


でも今は違う。何も恐れず、この青く輝いた青春を全力で楽しもうとしてる。




今まではクラスで何かやることがあっても先生は参加していなかった。生徒だけでやるものだと思っていたから。


そう。


だからこれが本当に初めての


【全員でやるクラス行事】



1章 終


次回2章。あの卒業式から5後の物語




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