4-6 友・情・賛・歌……の裏

◎エピソードタイトルの元ネタ


『仮面ライダーフォーゼ』のサブタイトルのフォーマットより、青春らしさからチョイスしました。


◎エピソードの狙い


 義花の進路にまつわる産婦人科まわりの話と、千波くんとの仁輔を巡る会話の二本立てでした。強いて言えば、義花がこれまで距離を置いていた男性たちと接することで苦悩を打開していく回でもあります。


 まずは産婦人科にて。義花は最終的にドクターを目指すことになるのですが、その理由が本編前後で変わっています。1回目の牧原クリニック回(2-4 信仰)では、頼れるお姉さんである百寧先生への憧れを描きました。義花の誕生時の追憶を経ての今回は、クリニックがやらなくなってしまった分娩対応と、義花が男性に抱く意識にフォーカスを当てました。今回のジェンダーと仕事の話も含め、義花は過剰なくらいメタ的な視点を意識することがあります。


 今までは憧れだった百寧先生にも不得手な仕事があったこと、苦手意識のあった一郎先生にも尊敬できる点があったことを学んだ義花は、自分の価値観を改めて吟味しました。子供っぽい愛着と憧れから大人らしい責任感へとシフトする時間ともいえます。

 しかしまだ、義花は産むことにこだわってしまいます。咲子への恋愛感情のルーツについての言及も含め、義花がいかに母性に執着しているかを描く話でもありました。



 後半では仁輔の柔道部のライバルである千波くんが登場。

 こうした「リスペクトしあうライバル男子たち」みたいな関係性、好きなんですけど過去のRNシリーズではあんまり書いてこなかったんですよね……『カノ詩』で女子ペアなら書きましたが。強敵だからこそ、その技芸以外で悩んでいてほしくない、だから真剣に助けになりたい……という爽やかな絆です。


 義花が千波から聞いたのは、仁輔の性に関する潔癖さ。このピュアな恋愛観、あるいは性的な欲求への抵抗感は、RNシリーズの飯田希和が抱いていたものと近いですね。仁輔と希和、雰囲気や得意分野こそ正反対ですが、やはり立ち位置はよく似ています。そのうえで辿る道を対照的にしている。

 続いて、仁輔にそうした感情を抱かせたのが咲子であることも推察。偏見込みですが、「彼氏/旦那には、自分以外に性的な関心を抱いてほしくない」というのは少なくない女性が抱く感情なのではと思っています。そのうえで、そうした姿勢を咲子に植え付けられたせいで仁輔が苦しんでいることも描く。


 カップルの破局と和解の例を出したり、義花に仁輔との仲の深さを思い出させたり。結構大事な役目を千波くんには担ってもらいました。


 

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