4-4 それぞれが、できてしまう無理を ……の裏

◎エピソードタイトルの元ネタ


『仮面ライダークウガ』作中の台詞より。本当は暴力を嫌う人間たちが、それでも人を守るために過酷な戦いに身を投じていく……という物語のテイストは大好きです。カレママの精神的な要素は『クウガ』とも通じる面が多いですね。



◎エピソードの狙い


 前日(=前回まで)が仁輔まわりの修羅場で終わったので、その回復から。

 こういうシーンで発揮される、仁輔のクソ真面目さ。自衛官の父の影響で「ケンカを長引かせない」を徹底するし、告白の強要が悪いことも謝る。自分の非を認め合いつつ意地も張り合う、妙なところで似ている二人は書いていて楽しいですね。


 後半では義花と康信の本音のぶつけ合い。序盤では影の薄めだった康信パパですが、ここからは大活躍です。窮地でこそ輝く人材。

 康信の信条は「自由の尊重」に尽きますね、その上でマイノリティ擁護重視なのでリベラル的とも言えそう。その姿勢を学びつつも義花はシビアな世界観で生きています、彼女の政治観については後述。


 たまに意見がすれ違いもする親子ですが、共通しているのは理系っぽい思考法です。正確に現状を認識するためには、まずは主観的な感情を切り離さなければいけない……みたいな。そのうえで、現状と感情のギャップに敏感な父親と、鈍感であろうとする娘です。


 そして、文化資本にまつわる話も出ていますね。「教育にも格差があり、自分は恵まれている方」という感覚が強まっているのが最近の義花です。市亀作品には高学歴系のキャラが多いのですが、以前はそうして勉強に打ち込める環境を当たり前に描きすぎたな……という反省があったので、今作ではたびたび強調しています。


 といいつつ義花は衒学みのある芸が大好きです。QuizKnockとか相当好きそう。

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