第4話
「電気系統の故障は特にエラーは認められません、これは物理故障の可能性が高いです」
「物理故障となるとプラグノズルの修理もしくは交換が必要かもしれないな……真守、どのくらいかかると思う?」
「まず船外に出て調査に八時間、そこからプランして、交換までに早くても二十から四十時間」
「そうなると、一番乗りは難しくなってくるな……」
「くそ、なんでこんな時に限って。火星は俺達の着陸を拒んでいるのか?」
「ちょっと待て、地球の管制センターから緊急連絡が入った」
私は耳に被せたヘッドフォンに神経を集中させた……最悪の情報が流れてきた。
「みんな、ここにきてさらに不運なニュースが届いた。アメリカで開発されたレーザー推進型宇宙船が超高速で火星に近づいている。推進力を上げてきたようだ、このままだとほぼ同時間に到着の見込みだ」
「俺達の長旅はまったく無意味だったということか?」
「しかたがない、日本が勝ち抜くにはいち早く出発する、それしか手はなかったからな。メンテナンスも十分に行き届いた状態ではなかった。宇宙開発生き残りを賭けた競争だ」
「技術力で負けていたら、意味がないんじゃないですか?」
「いや、日本に欠けているのはフロンティア精神。今こそ大和魂をもう一度復活させる必要があるんだ……『ひのとり』にはそういう意味が込められている」
「でもこのままだと、勝ち目はないわね。諦めるしかない」
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