12/5 おじさん構文

 プレゼントが決まって機嫌よく登校する。もう学校はすっかり冬休みムードである。しかし女子も男子もコートなしで頑張るのは何故だろうか。寒いならコートを着ればいいのにマフラーで誤魔化している。コート禁止なんて校則はないのに。

 下足入れをチェックして手紙を回収する。早く読みたいがそれより先にやることがある。

 まずは各教室のビオラとハボタンに水をやり、それから朝の会が始まるので教室に向かう。コートを雨具かけにかけて、席につく。

 手紙は放課後部室で開けよう。朝の会のあとウェーイどもが自分の机に勝手に座ってしゃべっているのをげっそり気分で見て、それから授業をちゃんと受けた。勉強することは楽しい。

 どうにか耐え難きを耐え忍び難きを忍んで放課後がやってきた。部室に一番のりして隅っこで手紙を開く。

「得意料理はパンケーキです! パンケーキアートも得意です!」

 ああ、例の喫茶店の娘でござるか……と、太嘉安先生が食べていた厚焼きのパンケーキを思い出した。あやうくおじさん構文で「陽菜チャンのパンケーキ食べたいナァ、なんつって」と書きたくなるのをこらえた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る