ゆる園芸アドベントカレンダー2022 春臣くんの楽しいクリスマス
金澤流都
11/27 プレゼント交換と下足入れの手紙
高校1年の冬。クラスのウェーイ集団から助けてくれた恩人、翔太氏のキンギョのフンとして入部した園芸部は、冬になってビオラやハボタンに水をやる部活になっていた。
期末テストが返ってきた日の午後、部室の石油ストーブで温めたココアを飲みながら、自分はおずおずと提案した。
「クリスマスになったらプレゼント交換をしてみたいんでござるよ」
我ながらこのござる口調はなんとかしたいのだが、自然な会話というのがどうにも苦手だ。
「おー楽しそうじゃん。でもなんで『してみたい』なの?『したい』でいいんじゃないの?」
有菜先輩が首をひねる。
「自分の親は子供の友達同士が誕生日やクリスマスのプレゼントのやりとりをするのは禁止、ってルールを守らせたんでござるな。親も巻き込んだトラブルになりかねないゆえ」
「んだそれ厳しすぎじゃねーか」と、翔太氏。
「でもおかげで小学校のころはいじめられたりしなかったでござるからな。で、高校生になって、さすがにもういいってことになったから、クリスマスプレゼントの交換をしたいんでござるよ」
「いいじゃん楽しそう。ルールは明文化したほうがいいよね」
沙野先輩がそう言う。沙野先輩もおそらく自分と似たような環境なのであろう。
そんな話をしてから下校しようと下足入れを見たところ、なにやら自分の下足入れに封筒が入れられていた。
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