第50話 俺の息子 ※クライン視点
俺は冒険者達から夜の性活もみんなが注目するほど元気だった。
ああ…‥.元気
俺がおかしいと気づいたのは、普段通り商店の女性と夜の戦闘をする時に問題が起きた。
「クラインさん今日はお疲れなんですか?」
「ん? そんなことはないぞ?」
「でもこっちは元気がないですよ……?」
彼女に優しく触れられているはずが、なぜか俺の息子はピクリとも反応しなかった。
「あまりにも君が可愛くて少し緊張しちゃったみたいだな」
「冒険者で活躍しててかっこいいって言われているクラインさんでもそんなことがあるんですね」
「ああ」
俺はその時は気にせず行為を続けることにした。きっと最後に近づくと自然と元気になると思っていたからだ。
だが、そう簡単にはいかなかった。いろんな意味でいかなかったのだ。
「あなたから誘ってきたのに最低よ!」
気づいた時には彼女に顔を叩かれ、俺は一人で寂しく宿屋に放置された。
いつもなら激しく朝まで連戦が繰り広げられているはずが、息子が反抗期なのだ。
「おーい、俺の息子どうしたんだー?」
試しに叩いてみたがその後もピクリとしなかった。
どうやら俺は本当に疲れているのだと思った。
だがそうではなかった……。
次の日も、その次の日も、いつも通りに女性に声をかけても、いざ行為になっても息子はずっと反抗期なのだ。
俺の体はどうなっているのだろうか。
あまりにも経験したことがないと、人の頭って全く考えられなくなってしまう。
「クラインどうしたのよ?」
「ああ、ユーリか」
声をかけてきたのは冒険者ギルドの受付嬢だ。ちなみに彼女とも一度は経験済みだ。
「最近元気が無いですね。やっぱりクロウさんがいないからですか?」
あまりにも悩んでいたためクロウがいなくなったことに俺は気づいていなかった。
いつのまにかクロウは冒険者ギルドから去っていた。
「あいつどこいったんだ?」
「えっ、クロウさんから直接聞いてないの?」
「ああ」
あいつは結構口数が少ない。そういえば、なぜか俺と話す時は口数が多い気がする。
前のパーティーメンバーやユーリと話す時なんか頷く程度だ。
「クロウさん王都に活動拠点を一時的に移すらしいわよ」
「なんでだ?」
「そりゃーソフィアさん達と居づらいからじゃない? だって急にパーティーから追放するって中々ないわよ」
たしかに追放されたパーティーと同じ街のギルドだと、働きづらいのは俺でも理解はできる。
俺もパーティーの女性全員に手を出した時は、街に居づらくて逃げてきた。
「せっかくだからクラインも王都に行ってきなよ?」
「なんでだ?」
「だって、一番話せる人がクロウさんでしょ? そんな人が居なくなって寂しいんじゃない?」
ああ、俺はクロウが居なくなって寂しくなったのだろうか。
気づいたら息子の元気がなくなった時も、確かクロウがいなくなった日だ。
俺にはクロウという親友であり戦友が必要なんだろう。
すでに回らなくなっている頭で考えるのもめんどくさい。
「なら俺も王都に行ってくるわ」
「ふふふ、それこそクラインよ! 決まったなら準備してクロウさんに会ってきなさい」
「ああ」
俺はクロウに会えば息子も元気になるだろうと思った。俺は急いで荷物をまとめて王都に向かって出発した。
「ふふふ、これでクロウ×クラインが見えるのかしら。でもクロウさんどこか抜けてるからクライン×クロウも捨てがたいわね。本当にモナさんからこの本借りてよかったわ」
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【あとがき】
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