第20話 彼女達の行方
俺はコボルトと一緒に彼女達を探すことにした。
「俺が前に嫌がらせをしたいって言ってたのはあいつらだ」
「なに!? あいつらがボスの復讐相手ですか!」
「まぁ、復讐というのか嫌がらせをしたい相手だな」
「それは申し訳ないことをしました」
コボルトはコンパクトな二つ折りになっていた。きっと謝る時はこの姿勢なんだろう。
綺麗な二つ折りにコボルトの骨がどんな形状になっているのか気になるぐらいだ。
コボルトには以前、嫌がらせの協力をしてもらったが結果は散々だった。
その時の経験でコボルトが人間嫌いになってしまった。
あの時の挽回を今回はしてもらいたいものだ。
「いや、それは構わないけどみつけられそうか?」
「拙者の鼻はコボルト界では――」
「あー、はいはい。どうせオークと同じ……」
コボルトの顔を見ると指を鼻の中に入れていた。
ああ、セルフ鼻フックをしているのだろうか
「拙者をあんな脂まみれのやつと一緒にしないでくださいよ。あいつらはただの何もできない大食いの豚じゃないですか!」
うん、明らかにお前の方がオークに対して失礼極まりないだろう。
俺は単純に臭いが敏感なイメージで答えただけだ。
しかも、鼻フックでオークを演出しているとは思わなかった。
「じゃあその鼻で俺をあいつらのところまで連れってくれ!」
「ハイ! イエッサアアァァァ!」
この時コボルトに頼ったのが間違えだった。
なぜコボルトならあいつらを見つけてくれると思ったのだろうか……。
コボルトに連れられたところは森の奥深くだった。
どう考えてもあいつらがこんな奥まで来るはずはない。
そして、いつまでその鼻フックを続けているつもりだ。
それだとにおいが嗅ぎにくいだろう。
「おい、あいつらはどこにいるんだ?」
「ボス、あそこです!」
目を凝らした先には女性が三人いた。
「おっ、やっとみつけた……ってゴブリンじゃないか!」
コボルトが見つけたのはゴブリンだった。
しかもゴブリンの中では珍しい雌だ。
雌がいるということは上位種の存在がこの森には生息していることになる。
「そのままあいつらを追っていくぞ」
「イエッサアアァァァ!」
「うるさいぞ!」
俺はゴブリンの三人娘をコボルトとともに追いかけることにした。
♢
ゴブリンが向かった先には小さな簡易的な小屋ができていた。ゴブリンが集落を作っていたのだ。
「ボスどうしますか?」
「いや、流石に付与術師の俺だけじゃどうにもならないぞ?」
ゴブリンの集落は規模によっては災害級と呼ばれるほどで、町を一つ滅ぼせるだけの危険度があると言われている。
中の様子はわからないが雌のゴブリンがいることを考えるとゴブリンから二回進化したゴブリンジェネラル以上の種族がいるはずだ。
「いえ、ボスには拙者が付いてます!」
「うん、絶対頼りにならないな」
俺は即答した。新人冒険者に手足が出ないやつが使えるはずがない。
「そんな……」
コボルトが再び穴を掘っていると目を疑う事実が発覚した。
「おい、
「モナ、ルーダ! 私が囮になるからそのうちに――」
「嫌よ! ソフィアだけ置いていけないわ!」
ゴブリンに運ばれている彼女達がいた。
あの時いなくなったと思っていたが、実はゴブリンに捕まっていたとは思いもしなかった。
「ボスどうしたんですか?」
「ああ、あそこを見てみろよ」
「はにゃ? あいつらあんなところで何遊んでるですか?」
コボルトの目には彼女達が遊んでいるように見えるのだろう。
確かにゴブリンの上でバタバタしているからな。
「あいつらまで俺の獲物を取るのか……」
「うぇ!? あいつらはボスの獲物何ですか?」
「そりゃーそうだろ? 嫌がらせをするせっかくの獲物なのに……」
コボルトは何とも言えない表情で俺を見ている。
おい、なんだその顔は……。
「ここはボスの出番です! 早く行ってきてください」
「おっ……おう」
コボルトに言われるがまま彼女達を助けることになった。
「ボスって不器用な人ですね……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます