第6話 隣村を確かめに行ってみたら……
とまあ、そんな感じで夢の中の俺は、贈り物が届くのを待っていた奴との二人で隣村の様子を見に行く事になったようだ。
最近、隣村との交渉事から遠ざかっていた為に判明していなかったが、何かの疫病が流行っていたりとかの思いもしない悪い事態が起こっているのかもしれないと、俺達はかなり用心して隣村に近付いた。
隣村が遠くに見える位置まで接近すると何だか様子が何時もとは違う様な気がする。
そう。なんか人影が少ない感じだ。
こりゃ本当に流行り病でも蔓延しているのかもしれないと注意して村に入っていったら、一番近くに有る家の扉が急に開いて武器を持った奴等が四、五人飛び出して来た。
えっ、と驚く間も無く奴等は俺達二人に斬り掛かって来て、煌めく剣が襲ってきたっ!
と思った所で目が覚めた。
そして、目が覚めてからの俺は、暫く愕然として布団の中でもって身動きが一切出来なかったが、段々と頭だけが働いてきた。
……オイオイ、……嘘だろ?
俺ってば、あの場面で、死んじまったって、事か?
…………。
オイッ! ちょっと待てよ! 死ぬのを回避しようと今まで色々と頑張って来たのにっ、返って早死にしちまってるじゃないか!
何だよ! どうなってんだ?!
と、そこまでは事態の理不尽さに怒り狂っていたが、急に悪寒がして背筋がゾワッとした。
そう、俺は最悪な事に気付いてしまった。
夢の中の俺は、ここまで成長する間に幾度か病に掛かったり、怪我をしたり、大きな事故に遭いそうになるのをかわしていたりした。
今思えば、それはたまたま運良く大事に至っていなかっただけなんだ。
だけど、それがもし致命的な物だったとしたら俺はその時に死んでしまっていて、そして繰り返しの後にそれを回避出来なかった場合には、漏れなく地獄の様な死の苦痛を体験する事になっていただろうって事だ。
そして、それを回避する事は、今よりももっと困難になっていた筈だ。
だって、成長している今でも四苦八苦している状態なのに、もっと幼い俺にどうにか出来る訳がないじゃないか。
まあ、取り敢えず問題は今起こっていて過去には起こっていないんだから、これからは幼少期の行動にも気を付けるようにすれば良いだろう。
で、だ。隣村の件に話を戻すと、次の夢ではもっと慎重に行動する必要が有るよな。
あんな風に問答無用で斬り掛かってくるなんて、とても尋常ではない。
だけど、もう一度あの場面に差し掛かっても、夢の中の俺には前回の記憶は無いし避けようがないよなぁ。
うーん。どうするべきか。
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