蛇(あなこんだ)と思ったら龍でした

かくさんすけさん

ゴロゴロゴロゴロ

ゴロゴロゴロゴロ

さっきまでの青空が いつの間にか

灰色の雲に覆われていた


「あ いつの間に?」


川沿いの舗装もされていない

石ころだらけの土手の道を

私は自転車を漕ぎながら 顔を上に向け

音の方を確認した



乾いた 

自転車でも通ったら砂埃をあげそうな

クリーム色っぽい砂や小石の地面が

小さくこげ茶色に 少しずつ

色が変わっていきだした

久しぶりに降ったからか 

地面が少し砂埃っぽい

匂いをさせていた



「わぁー 鞄!濡れる!」



急いで自転車を降りて

スタンドを立て

荷台の学生鞄を留めてある自転車のゴムを緩めた


「確か この間……使わなかったから……

あるはず!」


と 鞄の中に雨が入り込まないように

ちょっと角度をつけて

鞄の前側の薄いポケットに手を入れる


カサカサと音がする

指先がそれをつまんで ポケットから

取り出す


「良かった!やっぱりあった!」


その間にポツポツとした雨が

ポツポツポツポツポツポツ 

サァー

と 音を変えていた



「えーっ 早い!」


そう頭で考えただけだったのが

声に出ていて 


自分も ご老人達と同じだ…(苦)


慌ててビニールの袋で鞄を包み込み

荷台にゴムで括り付けていく


服がびしょ濡れになるのは

明日迄には 乾かせると思ったから

優先を鞄に切り替えた


「プリント濡れるし 教科書波々ページはいやよ」


そういいながら

目当としている 100メートル程先の

大きな木を目指し ペダルを踏むは踏むわ


ぬかるみに嵌まることなく

大きな木の下へ


首を直角にして体を反らせて見上げる程に大きい木の下は

流石に偶にしか雨が落ちてこない


自転車を立て サブのバックから

タオルを取り出す


「タオル替えといて良かった」

髪や服を拭きつつ

「やむかなぁ?」


先程より暗くなった空を見上げていたら


ピカ!

稲妻綺麗……


「ん?」


ドーン!


空気が震えそうな落雷の音


「ん?その前に…何か…空に…」


ピカ!


「え?」


稲妻の光に雲の向こう側で

何か動いて?

まさか 上空よ?

空よ?空………


「雲と光の加減でね……」


ドーン!


またもや落ちたらしい


「火事にならないといいけど」


山を見渡し 煙の上がっているところが

無いか確認する


ピカ!

まただ!よく光る


「は?」


光った方は 川向こうの山

すぐさま ドーン!

落ちたらしい……


ドーン!


「え??」

ドーンが2回?

そんな自然現象もあるんだね

稀有な体験?しちゃったよ

明日 るなちゃんに話そう♪


そんな のほほほんとしていた


だが 次の瞬間 目を見開いた



向かいの山の上から 何かが木を倒しながら落ちてくる………転がりながら……

アニメでロボットとかの戦闘シーンが

脳内で展開される

いや 現実的じゃない……

とかなんとか いつもは使わない

現実的じゃ…とか 冷静になろうとしている自分がいる……


そんな中 余り高くない山なので

裾まで落ちてくるのも早い

見事に 縦一直線木を倒して……

何かが落ちてきていた


青っぽいけど……


川向こうに渡る橋は少し行けばある



「どうしよ……見てみたいけど…」


雷は鳴っていない

雨も小降りになっている


「うん」



少し濡れたタオルを首にかけ

自転車を漕ぎ始める



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