スキル[魔力操作]は手足のように魔力を操れます

迅蜂

第1話 追放

 どうしてこうなってしまったんだろうか・・・



 僕は貴族の家の生まれだった。エリートな父と優しい母の間にでき、将来有望な魔力を持ちながら育った。そんな僕に父は期待していろんな魔法の事を教えてくれた。日に日に大きく育ち、魔力量も順調に増えていくそんな僕を父や母、他の貴族などから神童と呼ばれ甘やかされながらも厳しい魔力操作の訓練も行ってきた。


 やがて、12歳のスキルが授けられる年まで順調に育っていき、12歳という若さで一級魔法師並みの魔力量を持つ子供に育った。そんな僕に宿ったスキルは


 メイン:魔力操作 サブ:成長阻害


 スキルを得た僕は喜んで父に見せていた。そんな僕のスキルを見た父の顔は徐々に赤くなり険しくなっていった。そんな父におびえて後ずさると父は言う。


「メインスキルが魔力操作だと!? 属性のスキルではないじゃないか! しかも本来はサブにつくスキルがメインに出ている!? しかもサブスキルはほぼデメリットがだけの成長阻害! こんなものがあって頭の成長がしなければ家の面子が潰れるではないか!」



 そんな怒鳴り声を聞いた僕は、完全に縮こまってしまい何を言ってるか分かり切れないでいた。そんな僕に父はまだ追い打ちをかけてくる。


「メインが属性系や職業系スキルなど魔法が使えるスキルが出なければ、その大量の魔力量が無駄ではないではないか! そんな状態では誰もが使える物理魔法しか使えない! そんな戦士などが攻撃を防ぐ盾を作り出す程度の魔法でどう育てろと言うのだ! サブスキルの成長阻害は一部の成長を完全に止めて一部の能力だけを飛躍的に伸ばしはするが、ハズレを引いた時のデメリットが大きすぎる! そんな地雷でしかないお前はもう家の名を名乗る資格すら無い!」


 大声で浴びせるように言う父の背後で何事かと駆け付けた母がおびえつつもなるほどと思っていそうな顔で覗いていた。貴族は家名を大事にしている、これがなくなれば貴族という立場を完全に失うと同義だった。そんな宣言をされてしまった僕はもうこの家で生きていく道がない。そんな僕にまだ父は満足しなかった


「おい! 呪術師を連れてこい! 今すぐ呪いで家名を名乗ることを封じるのだ! こんな子供がいると知り渡ってしまえば私たちの貴族の地位が地に落ちてしまう!」


 呪術師がすぐに呼び出しを受け、駆けつける。族が入ってきたのかと思っていた呪術師は父からの説明を受け一瞬びっくりした表情をしたがすぐにスンとした真顔を僕に向け、感情の無いような声量で僕に手を向けて呪いを唱えた。それを受けた僕は胸が苦しくなり呻いて倒れた。意識が遠くなるのを感じながら聞こえた父の声は


「どこかにこいつを捨ててこい! 魔物などに食べられて消えてしまえばいいのに! 街には捨てるなよ! 隣町ぐらいまで行ってこい! じゃあな! 出来損ない! お前が私たちの名を汚すことがないのを願っているよ」


 そんな父の顔はニコやかに僕が運ばれるのを見ていた気がする・・・

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