名刺代わりの好きな本5冊

カフェオレ

名刺代わりの好きな本5冊

 好きな本5冊ということで、ここでは自分の好きなミステリー小説を中心に紹介していこうと思います。どれもおすすめの大好きな作品です。


 1「Another」綾辻行人

 綾辻行人さんは自分がミステリーにハマるきっかけとなった作家さんです。

 最初に読んで衝撃を受けたのは言わずと知れた名作「十角館の殺人」です。

 さて「Another」はアニメ化もされた有名な作品ですが、いわゆる「館シリーズ」のような本格ミステリーとは少し違うゴシックホラーものですね。呪われたクラス。怪しげな人形とヒロイン。そしてあの仕掛け。

 個人的に「館シリーズ」よりも読み応えがあり世界観、キャラクターに惹かれました。「緋色の囁き」と迷いましたがこちらを選びました。


 2「姑獲鳥うぶめの夏」京極夏彦

「百鬼夜行シリーズ」の一作目。

 妖怪とミステリーを融合してしまったとんでもない小説です。しかも名前だけで実際に妖怪は出てこない!

 二十ヶ月身籠ったままの娘。密室から消失した夫……圧倒的世界観! 序盤の長ったらしい蘊蓄がそれらの謎を解く鍵となっているのだから驚きです。解決編は「おい嘘だろ!」ってなります。

 読み終わったらきっと常識や自分の見てる世界を疑ってしまうでしょう。

 続編にあたる「魍魎もうりょうの匣」や「絡新婦じょろうぐもの理」なども面白いですがやはり「姑獲鳥の夏」のインパクトにはやられましたね。

 正直いうと序盤の蘊蓄が長くて一度挫折しましたが、今ではもう一度挑戦して良かったなと思います。むしろなんでもっと早く読まなかったのかと後悔しました。


 3「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」麻耶雄嵩

 アンチミステリーの問題作。王道な館ものと思わせておいてやってくれます。

 名探偵木更津悠也と銘探偵メルカトル鮎の推理合戦。とんでもない結末にたどり着きます。

 終盤の展開では怒る人と絶賛する人とで二分されることでしょう。「そんなことある?」と思ってしまいますが面白いからいいんです。

 この小説を読んだのが自分の中で新しい作家さんを開拓しようと思っていた頃なのですが、タイミングとしては完全に正解でした!

 麻耶雄嵩さんといえば二作目の平成の奇書ともいわれる「夏と冬の奏鳴曲ソナタ」ですがあれはミステリーとかアンチミステリーを超越した奇蹟の書なので、推理小説として楽しめたこちらを選びました。


 4「斜め屋敷の犯罪」島田荘司

 異形建築ものの超傑作。なんてワクワクするタイトルでしょう。探偵小説のタイトルとしては完璧なんじゃないでしょうか。

 島田荘司さんの「御手洗潔シリーズ」といえば一作目の「占星術殺人事件」でしょう。もちろん占星術も素晴らしい作品であることに違いはありません。個人的には斜め屋敷のトリックの方が好きです。いえ、大好物です!

 最初から斜めに建てられた館で起きる連続殺人。複雑な館の構造がたまらないです!

 御手洗潔シリーズ二作目と言っておきながら探偵(占い師)御手洗潔が登場するのは中盤を過ぎてから。それまでは事件が起きて口の悪い警察がひたすら頭を抱えるという感じで、正直飽きてしまうかもしれません。小説としても読みにくい方でしょう。しかし、御手洗潔が登場してからは彼の強烈なキャラクターもあってか、急にコメディーになります。ですがそこからまたしっかりと本格ミステリーにもなって物語は動きだすので、ぜひそこまで読んでいただきたいです。あとは一気読みです。

 解決編はやはり怒る人と絶賛する人で分かれるでしょう。だって斜め屋敷だもん。自分は腹を抱えて笑い、絶賛しました。解説で綾辻行人さんがメイントリックが明かされた時は興奮して部屋を歩き回った、と書いていましたが自分もまさにそうなりました笑

 松本清張のような社会派ミステリーが台頭した時代によくこれを書いたなぁと感動しました。この作品があるからこそ今の日本の本格ミステリー小説があると言っても過言ではないでしょう。

 二度読み、三度読み必至のトリックをぜひご覧あれ!

 とりあえずパラパラめくって読まない方がいいです。


 5「異邦の騎士」島田荘司

 これまで紹介した四作とは少し毛色の変わった作品。島田荘司さんの「推理小説」そして「青春小説」としての最高傑作。自分は何度も読み返してしまいます。

「御手洗潔シリーズ」の四作目となるこちらは「占星術殺人事件」「斜め屋敷の犯罪」を読んでから読んでいただきたいです。

 主人公は記憶喪失の男。頼れる存在もなく孤独な彼は良子という女性と出会い恋に落ちます。

 男には過去もなく、お金もないですが二人は仲良く過ごします。

 しかし彼はある日、知ってしまう。

「自分は人殺しなのでは?」

 幸せな日々の裏にひそむ影。真相を突き止めるのはもちろん御手洗潔。

 シリーズとしては短編を除いて長編三作目ですが島田荘司さんが最初に執筆した作品です。そのため若かりし頃の島田荘司さんの感情が強く反映されています。燻っている感じや先行きの見えない鬱々とした心境がリアルに描かれており序盤から引き込まれます。

 弱者が勇気を出して大きな壁に挑む姿。これは島田荘司さんの短編小説「数字錠」や「ある騎士の物語」にも通ずるものがあるなぁと思います。この二作ももちろん好きです。ていうか島田荘司作品大好きです。

 読み終わった後は放心しました。中盤くらいから不穏な感じはあったけどそうか……そうなったか……。切ないけどここから御手洗潔シリーズが始まる(三作目だけど)。そう思わせてくれる作品です。

 話の随所に胸に刺さる台詞や場面が散りばめられています。個人的には良子がステレオを聴いているシーンとちょっとヒステリックになるシーンがお気に入りです。こういうシーンの描き方本当に島田荘司さん上手いですね。


 以上が自分の好きな本5冊になります。

「姑獲鳥の夏」「翼ある闇」「斜め屋敷の犯罪」を読んだことがある方からすればなんとなく傾向は見られると思いますが、まあそういう系が好きです。後半はもう島田荘司作品についての語りですね。

 なかなか5冊に絞るのが難しかったですが自分の好きなものを紹介するのは楽しいですね。またの機会にここで紹介出来なかった作品についても語る場があればいいなぁと思います。それか勝手に語ります。

 それではこれにて。ありがとうございました。

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