第12話

「一角鯨はすごい力を持っていたけど、不死人はみんな、あんな能力を持っているの?」

「ああ、俺など所詮自制が効かない不良品だ。奴らの能力は桁違い」

「もしこの島が襲われたら……」

「ひとたまりもないな。しかし奴らにとって人間など虫けら同然、わざわざ相手にすることもないだろう」


「ところでさあ、さっきから気になってるんだけど」

「ん?」

「なんでオヤジ、素っ裸なの?」

「ああ、これか。覚醒したときに服が破れちゃったからな、はは」

「カッコ悪い、ちゃんと着替えを用意しておかないとね」


「久しぶりに彼女のことを思い出したな。そうだ、今日はヒミコさん、いや……か、母さんの墓参りでも行ってみるか?」

 鼻をかくカジトにフミコはクスッと笑みを浮かべて、元気に答えた。

「うん、きっと喜ぶよ。やっと家族が一緒になれたって」


 まもなく夜が明けようとしていた。

 水平線から昇る太陽が、背後に迫る暗雲に気づかぬほど、眩しい陽射しで二人を照らしていた。


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