第26話

 小さなリュックを天使に背負わせて、私達は出掛けました。私の故郷にピクニックへと旅立つのです。電車に乗るためには姿を現さなければならないと天使に伝えました。車掌さんにも見えるようにと説明しました。


 そうして私は、私の説明によって妖精から人間へと姿を変えたのです。そして私達は鈍行列車で自然豊かな山間を北東へと向かっていきました。


 私達の目的地、私の故郷。 私は約束を果たしたのです。天使と見るに相応しい場所。一面に咲く瑠璃るり色のネモフィラ。その幻想的で美しい光景を天使は、それこそ天使の笑顔で喜んでくれました。


 ベンチに座り、ネモフィラを眺めました。朝早くから出掛けたせいか、天使は私に寄り添って寝入ってしまいました。


 本当に幸せのひとときでした。このままずっとここにいよう。天使とこのままずっとここで暮らそう。私はそう誓いました。

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