第20話

 私は天使の成長に携わり、孤独を埋める存在として充分に貢献したのでしょう。ぬいぐるみを抱かずにひとりで眠れるようになるのと同様に、天使は私によって孤独に打ち勝つ成長を遂げてしまったのです。


 そして私は取り残されてしまったのです。ほつれた糸を結んでもらえず、ベッドの脇にただ置かれているような感覚。導いたであろう私自身が孤独にさいなまれてしまったのです。


 私は焦燥が込み上げてきました。いえ、嫉妬なのかもしれません。どちらでもいいのです。どちらも結局は怨嗟と変わりありません。私から天使を奪おうとする者達への燃え盛る憎悪なのです。


 何故にあんな者達を求めるのか、何故に今さらりを戻すのか、私がいればいいのではないか、私以外の存在など不要ではないか、私が最も天使に必要な保護者なのではないか。


 それは雪玉が固まるように重なって、転がって転がって巨大に育っていったのです。


 憎い、憎い、憎い……。


 もはや手遅れなほどに憎悪が増殖し、精神を侵食していったのです。


 憎い、憎い、憎い……。


 そうしてあの日を迎えたのです。

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