第11話

 そうして私は天使のもとへ毎日通うようになりました。専門学校のことなど既に頭にはありませんでした。天使に出会ってから私の脳からすっかり抜け落ちて、思い起こすことすらなかったのです。


 天使は私の顔を見るなり、満面の笑顔を寄せてくれました。そして私の腹に抱きついてくるのです。天使は私を「パンプキン・パンプキン」と呼びました。寂しさを埋めてくれる妖精だと言いました。


 くと叔父さんに貰った絵本に載っていたと言うのです。名前からしてきっとあのタマゴ型の彼のことでしょうか。私の肥えた風体と彼を合致させて、自らの解釈を混ぜ合わせたのだと思います。私はそれを手放しで受け入れました。


 私はそれを否定することなどできましょうか。訂正することなどできましょうか。天使が名付けてくれた愛称を嫌がることがありましょうか。


 私は実の名前を捨てました。いいえ、元々持ち合わせてはいないのです。

 なぜなら私は「パンプキン・パンプキン」なのですから。

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