選挙なんか要らない社会 V.1.1

@MasatoHiraguri

第1話 今日は投票日

   本日、2022年11月26日は台湾の地方選挙投票日なんだそうです。

  

  昨日は、選挙運動の最終日ということで、大音響で音楽を流す何台もの選挙カーと、それに続いて同じ野球帽を被り同じベストを着た大勢の老若男女が、大きな幟(のぼり)を持ち、街中や住宅街を練り歩きます。

  彼らの前後では爆竹がバンバン炸裂し、花火が打ち上げられています。


  行列から数十メートルも離れたスーパーの駐車場、停車したバイクの上でスマホをやっていた女性は、その凄まじい爆音に、思わずスマホをひざの上において両手で耳を塞ぎます。


  (夕方から開放される)小学校の運動場から森越しに見える花火や、家の駐車場から聞こえる、ものすごい量の爆竹の音はしかし、日本の「花火」と違い、まるで情緒も風情もありません。

  軽トラに乗ったビンロウ(麻薬の一種。中国では禁止されているが台湾や韓国では合法)を噛んで、口を真っ赤にしたお兄ちゃんが、うつろな目をしながら、タバコで花火や爆竹に点火しています。バイク(スクーター)に乗ったサポーターたちが、片手に打ち上げ花火を持ち、大きな爆音と共に片手運転で、住宅街を疾走します。

  騒音と硝煙の匂い、同じユニフォームを着用した数十人もの夢遊病者のような人たちが手を振る光景は、私にとっては不気味というしかありません。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る