女神様はブラック会社員!?
サトら
1話 女神様は異世界転移部にいる!?
神様は社畜である。下界にいる人間は、私たちのことを
「神様はチート能力で豪遊でもしているんだろうな~」
とでも思っているのだろう。
だけど現実は違う。神様はブラック会社員だ。繰り返そう、神様はブラック会社員だ。
だっていくら仕事しても身体的な疲れを感じない。睡眠時間も2時間ぐらいで良い。こんな素晴らしい社畜体質のせいで私たちは四六時中仕事をしている
神様の仕事内容は下界の管理(下界とは地球のこと)だ。
部署によって仕事は違う。例えば
生命神部は人間を作り、
死神部部は老化した人間の命を奪い、
雷神部は雷を落とす、とかだ。
それで私たちの部署は最もブラックといわれる異世界転移部だ。
仕事内容は他の部署の神様が不手際で人間を殺したら、その人間が希望しているチート能力を聞き、それを実行することだ。
ブラックな理由は5つある。
①神様の仕事の中で唯一人間と対話しなくてはならない。
②神様が不手際をした時にすみやかに仕事をしなくてはならないので休みがない。
③人間が言った願い事は自力でかなえなくてはならない。それも1日以内に。
④この仕事は女神にしかできない。
⑤人間と対話できる女神が少ないので部署にいる人数が極端に少ない。
大変だと思うだろ。なんとこの部署に所属しているのが3人しかいない。そのなかの1人が私、ルーナだ。
そんなことを話していたら仕事が来た。
「死神部が間違ってまだ生きる定めの人間を1人殺したって。ルーナそいつを転移させてきて」
部長のセレスティーナからの命令だ。
「はいはい。」
私は適当返事して、事務室を出て転移室に向かった。転移室で死んだ人間と話すのである。私は転移室にある2つの椅子のうち豪華なほうの椅子に座って死んだ人が来るのを待った。
しばらくすると小さな白い光が手前のいすから現れる。そしてその、白い光が集まってきて人の形に集まっていった。光が収まるとそこには20代の男がいた。
私は男が目を開いたことを確認して
「私は女神、ルーナです。あなたは、こちらの不手際で命を奪ってしまいました。」
私が
「あれ、家に帰っていたはずなのにここはどこだ?」
男はそう言って私を見ました。
「この人はコスプレイヤーかな?めっちゃくちゃ本格的じゃん。」
男は興奮した様子で言った。その後、ポケットから、取り出した長方形の金属・・・スマートフォンっていうんでしたっけ。それで男は私の写真を撮り始めました。
目がギンギンと光っていて怖い。これ以上写真を撮らせないために私は話し始めました。
「私はコスプレイヤーではありません。女神ルーナです。」
「そういう設定か。えーと定番だと転生するからチート能力を一つくれるってことか?」
男は写真を撮るのをやめました。
たまにこんな奴がいる。なぜか私が言おうとしていたことを知っていて、説明する前に言うのだ。なぜ知っているのだろう。
「その通りです。では、あなたはどのようなチート能力がほしいですか?」
男は少し考える仕草をした後に、
「俺は神剣エクスカリバーがほしい。あるならだけど」
私は男に言われたものをすぐ同僚に報告する。
「聞こえるわね。スセリビーネ、人工知能付で威力補正がある剣を送って。」
「わかった」
同僚のスセリビーネの感情があまりこもっていない声の直後に私と男のあいだに剣が現れる。
「ではこの剣が神剣エクスカリバーです。もう異世界転移してもよろしいでしょうか?」
「大丈夫だ!さっさとしてくれ!」
私は男の承認も貰えたのでさっさと転移の準備を始める。
「では、ご武運を願って、
男の周りに魔法陣が浮かびます。
「えっ、これガチなの。ちょっとまって!」
男が何か言っているが、男はもう承認しているので、異世界転移の準備を続ける。
徐々に魔法陣の光が強くなって、また徐々に弱くなっていった。魔法陣がなくなったときには、男は転移していた。
私は仕事を終えたので、事務室に戻った。事務室に入った瞬間から、
私は自分の席に座って、
「つかれたー。人間を異世界転移させるの魔力も使うし、話すのも大変だよ。」
私はエクスカリバーをくれたスセリビーネちゃんに愚痴った。
「・・・」
スセリビーネちゃんは真顔うなずいただけだ。
「無口だなースセリビーネちゃんは。もうちょっと喋んなきゃ生きていけないよ。ま~どうしても喋れないなら笑ったら何とかなるから!スマイル!スマイル!」
スセリビーネちゃんが小さくうなずいたので私は続ける。
「それにさー、喋れるようになったら転移室で人と話せるんだから頑張ってね!頭いいんだから、絶対に私よりもうまくできるよ。」
そう、スセリビーネちゃんは頭が良いのだ。さっきの男に渡した人工知能付きで威力補正がある剣(エクスカリバー)だってスセリビーネちゃんが造ったのだ。
私が机に「ぐたー」って横になっていると、部長が話しかけてきた。
「私は早くお嫁に行きたいな。そしたらこの仕事もやめれるし。」
「セレスティーナ部長は適齢期を過ぎてるんですから無り・・・」
ものすごい部長から冷気を感じた。殺気がこもっている。
私は同僚に助けを求めると、スセリビーネちゃんはこっちをみて、
「馬鹿」と小声で言っていた。この声にはあわれみの感情がこもっていた。だけど助ける気はないらしい。
私は急いで部長のほうを向いて笑顔を作った。
「セレスティーナ部長はめちゃくちゃ可愛いから絶対結婚できますよ。今まで会った
するとセレスティーナ部長は「さすがルーナちゃん分かってるー」と聖母みたいな笑顔で言った。
お世辞を真に受けちゃってるよ。。
だけどもうこんなめんどくさいことにはなりたくない。
なので、結婚の話は部長と二度としない。と、私は固く誓った。
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