クライ暗い喰らい
小松加籟
第一、
作家と心中したいからってその眠剤は真夜中に聴く。贋作の生命に一朱銀を出した。頑迷な精神の持ち主でも、痙攣する。壁に飾った絵画を鑑賞する度にはらわたが煮える。易しく言えば、腹痛に堪えぬ。野趣溢れる生足を制服の下から生やした殺人鬼の口癖とは、
「ねえ、死体から香水の匂いがすれば、素敵じゃない?」
色白な膚に当たる甲斐性を買うのは英雄でも、怖気づく。実験動物の価値を低く見積もった釣りは、おまえの命が危うくなった時に、辞世の句を、おまえは忘れたか。それはほぼ次のようなものだった。
「常世の香りを嗅ぎ分けても嗅ぎ分けても命晴れぬ儘、彼世にも声枯らす」
気の触れた獣物は、自らの頭蓋骨に散弾銃を向けた。
俺は、生き死にを共にした。
「生きて」、女の声がした。
退屈な
「動くなよ。ぶっ殺してやろうか」
「解るか、虫けらめが」
人質は俺の片腕を切り落とした。痛みは無い。
酒は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます