第2話

 暗い……冷たい場所、ここはどこ?

 光が見えてくる、私を照らす優しいきらめき。


 ――目が覚めた、また同じ夢を見た。


 個室の窓から観える風景は、いつもと変わらぬ青い空に浮かぶひつじ雲。

 たまに目に入るのは昇りゆく太陽と、宇宙センターから打ち上げられたロケットの白い軌跡。

 私もあのロケットに乗って、どこか遠くを旅してみたい。


優里奈ゆりなさん、点滴の時間です」

 仲良しの看護師さんが点滴台をガラガラと押してやってきた。これから六時間、私は何もすることができない。ただ灰色の天井を眺め、ひたすら空想の中を彷徨さまよう。

 学校の友達のこと、家で留守番しているミケのことを思い起こす。そして……仲良しだった幼馴染。

 こんな真っ白な空間で一人でいるくらいなら、いっそ夢に見るあの場所に行けたらいいのにと思うようになった。

 あの光の先に何があるのだろう。左手を上げ窓の外の青空を仰ぎながら、その先にあるものを想像してみる。


 ――コンコン――

「はい」


 ガラリとドアが開くと、忘れたかったはずの男子の顔があった。

「……隆志たかし

「久しぶり」

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