第73話 魔道具でアクセサリー作り!①
魔法道具の材料一個分タダ!
しかも天才王宮魔道具師の指導料込み!!!! 格安!!
これは受けない手はないでしょう。
「ロゼッタは現金だなあ…」
「はい!」
さっそく材料となる魔石を吟味し始める私を見てシルヴィくんがくすくすと笑う。
あーー好き! かわいい!! クラスメイトにお友達はいないけれど、シルヴィ君とは何でも言い合える仲になってきたなあって感じ。仲良くしてくれるし、シルヴィ君が私のお友達ってことでももういいよね。
「でも、それならば全属性の能力を詰めたスーパーなアイテムは諦めますわ」
「賢明だね、そんなの国宝級だよ、王宮にしかないよ」
シルヴィ君の談に納得する。なるほどね、あれはミラージュ様が英雄だったから持っていたってことか。世間一般に流通している物ではないらしい。
「あんまり贅沢してもダメだよ、魔石を調整して固定するのにも魔力がいるからね」
「そうですわよね」
自分の魔力と相談か。ちなみに私はまだまだ魔法を学び始めたばかりの1年生、へっぽこだ。でも魔道具のアイテムを加工できるようになれば、これから先も役に立つんじゃないかな? この間の競馬場の時みたいに。
ちなみに現在お兄さまに装備させているアイテムは、
・幸運ウサギのストラップ 幸運+7
・雫のペンダント 水魔法+15
水属性パラメーターUP(小)
の二つ。個人の装備枠は2つしかないのでこの上記のアイテムを越える物が欲しい。いままでせっせと底上げした幸運値は下げたくないし、メインステータスの水属性の性能をアップしたい。うーん、この二つ合体しないかな…。
「ところで、以前わたくしが買わせていただいた『雫のペンダント』はわたくしでも作れそうな物でしょうか」
まずは己の能力を探ろう。自分じゃ分からないからシルヴィ君に判断してもらう。
「あー、あれかぁ。あれは…そうだね、水の魔石を三つ使ったかな。あれならロゼッタにも作れると思うよ」
なるほど、あれで魔石を三つも使うのか。
「では『雫のペンダント』の効力を上げるっていうことはできますか?」
「うん? うーんそうだなあ、一度固定の魔法を解除してから再度魔力を練り直して調整してバランスを取ってから固定し直すからできないこともないけれど…1から作るよりちょっと難しいよ?」
む、なるほど。でもこちらだって遊びじゃない。お兄さまのパラメーターを確固たるものにするために全力なのだ。お財布だって全力なのだ。
ひとまず、私が自分が身につけていた『雫のペンダント』を外して作業台に置いた。
「こちらをベースにして、わたくしの力量だとどれくらいのものができますか?」
「そうだな…メインの魔石はもう結晶化してるからブーストを増やして…」
シルヴィ君は何やらぶつぶつと難しい理論を唱えている。
正直、私にはシルヴィ君が何を言っているのかさっぱり分からないのでこの仕事向いてないと思う。せいぜい助手がいいところだと思うな。
だが、今回ばっかりは挑戦させてもらおう! たとえ出来映えがへっぽこでも、夏を越せればいい!
「じゃあ、せっかくだから練習してみよう」
「え」
「両手を輪にして真ん中に魔力溜まりを作って?」
えっ!えっ!! 突然はじまりました!! 実地!?
「手と手の間に、魔力でできた水球を作るみたいにして」
「ままま、待ってくださいませ!」
私はあわててシルヴィ君を真似て、手と手の平で輪を作り魔力を溜めた。
直径20センチメートルくらいの水…、水球…、魔力の球…。水の魔法なら得意なのでなんとかイメージできる。
「そうそういいかんじ」
「はい、そしてこの水の力を含んだ魔石を入れます」
シルヴィ君は片手で魔力溜まりをキープしたまま、もう一方の手で私の魔力溜まりの中に指の先くらいの小さな魔石をぽいっと投げ入れた。
ひええ、高級品を惜しげもなく!! まるで簡単3分クッキングのよう! 天才の教え方ガチで豪快ですね。
「そのまま、ボクのやり方見てて」
「ひゃい」
自分の魔力溜まりへも同じように魔石を投げ入れたシルヴィ君は、そのまま維持した魔力をろくろの様に回して魔石を変化させていく。
「こうして魔石に魔力を込めて形を変えたりしていくんだ。粘土みたいにね。まずはガラスの様に透明にして、色はそうだね水色、形は雨だれ型…」
みるみるうちにただの石ころだった魔石が宝石の様に輝き出す。これはあれだ、一回り小さいけれど雫のペンダントと同じ形だ。
「そして最後は状態を固定するよ。ボクは輝きが一番強くなった所で魔力を止めるのが一番出来がいい」
「え、どういうことですか?」
「うんとね、同じ素材・時間・同じ力を加えても魔力を止めるタイミングで仕上がりはばらつくんだよね」
「えええ…」
ここに来てルーレット要素!? 目押し能力必須か!!
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