第三部《口》は心の門
3‐1星は禍福をさだめる
よって、
今晩は嵐だ。星のない晩だが、占星師たちは文書を書きとめたり計算をしたりと慌ただしかった。
彗星を想わせる銀髪をなびかせ、
星の第二皇子である
占星師たちは振りかえり、袖を掲げて頭を垂れた。
「どうだい、例の日時は割りだせそうかな」
「それが、……非常に申し上げにくいのですが」
「計算できない、なんて言わないよね」
「要領を得ないな、
「こちらにおります、皇子様」
眼鏡をかけた占星師の男がやってきた。
「計算は可能なんですよねぇ。ただ、残念ながら、いまの施設では正確な観測ができない。誤差ができ、秒まで割りだすのは……まあ、ほぼ不可能ですねぇ」
彼は設置された
「どれくらいの予算があれば、できるのかな」
「錦珠様は御話が早いですねぇ」
旻旻が嬉しそうにぽんと手を打ちならす。
「実は夏までに
旻旻が錦珠にその額を耳打ちした。
予想をはるかに超えた額に錦珠は頬をひきつらせる。指をかみながら思考を廻らせてから、彼は「わかった」といった。
「必要資金を全額、提供すると約束しよう」
「さすがは皇子様です、いやあ、まもなく皇帝になられる御方は違いますねぇ」
「新たな皇帝、か」
錦珠は星を象る渾天儀を睨みながら、静かに微笑みを浮かべた。
「あらゆる禍福は星の動きでさだめられるものだ。……僕と
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