コバルト文庫とティーンズハート

さて。先日から氷室冴子さんの話題を出しておりますが、アラフォー、アラフィフあたりの女性には懐かしい名前ではないでしょうか。

1980年代から90年代のコバルトの看板作家のお1人だった氷室冴子さん。私がコバルト文庫で初めて読んだのは氷室冴子さんの『クララ白書』でした。

おそらく姉が買ったもので、北海道の中高一貫私立女子校の寮を舞台にした少女小説です。

これが本当に面白くて、氷室冴子さんの本はほとんど揃えてもらいました。『ざ・ちぇんじ』、『なんて素敵にジャパネスク』はもちろん、初期作品の『白い少女達』、『さようならアルルカン』なんかも。私が好きだったのは『シンデレラ迷宮』と『シンデレラ・ミステリー』。物語の世界に迷い込んだ利根という少女が、物語のヒロイン達の心情を聞いていくうちに自分の内面を見つめ直し成長していくというお話です。オデットやカルメン、ジュリエットやジェイン(・エア)、彼女達の物語の中では語られなかった本音を、氷室さんが想像して語らせるというとっても面白いストーリーになっています。

氷室冴子さんのことはまた改めて書くつもりですので、一旦ここでやめておきます。


そしてコバルトは赤川次郎さんや新井素子さんなども執筆されていて、少女小説と侮るなかれ、というラインナップでしたよね!

コバルト大賞出身者には角田光代さん、山本文緒さん、唯川恵さんといった直木賞作家も。須賀しのぶさんも読者賞を受賞されています。

私にとってのコバルト2大巨頭は氷室冴子さんと藤本ひとみさんでして、藤本ひとみさんは一般文芸で今は活躍なさってますね(でもマリナシリーズと銀バラは完結してほしかった……)。

もちろん他にも『破妖の剣シリーズ』や『ハイスクール・オーラバスターシリーズ』、『リダーロイスシリーズ』……。キリがなくなりそうです(笑)。

日常ものからミステリー、ファンタジー、SFと幅広いジャンルで、今読んでも面白いと思える作品も少なくありません。もちろん少女漫画的展開も多いのですが、ストーリーの骨子がしっかりしている作家さんがほとんどでしたので、読み応えがありました。

このコバルトよりも少し下の年齢層をターゲットにしていたのがティーンズハートです。

てこちらも姉が流行りにのって買っていた花井愛子さんの本から読み始めました。こちらは本当に少女漫画的な恋愛物が多かったんですが、私がハマったのは井上ほのかさんと小野不由美さん。

小野不由美さんの『悪霊シリーズ』、じつはティーンズハートが最初だったんです。レーベルがなくなってしまったので、今はメディアファクトリーから出ているようですね。

軽い書き口ですががっっっっつり怖いという(笑)。さすが小野不由美さん。

井上ほのかさんは今はもう作家活動はされていないようですが、18歳でデビューされ、島田荘司氏も注目していた本格ミステリの書き手でした。

『アイドルは名探偵』通称ドル探と眉子という少女のもう1つの人格、セドリック・エロルが探偵となるセディシリーズ。タイトルこそ少女向けっぽいのですが、トリックは本格派。

セディシリーズの『スコットランド古城殺人事件』、下顎から始まる特殊な死後硬直、「死人の冷笑(リスス・サルドニクス)」を利用した犯行時刻をずらすトリック、今でも覚えています。

ドル探、『愛してるっていわせたい!』の、大勢が参加するパーティーでのグラスを使った毒殺トリックも見事なもので、この作品で「プロバビリティの犯罪」という言葉を初めて知りました。

洋の東西を問わず古今の名作ミステリを相当読み込んでらっしゃったであろうと思います。大人になってからも何度か読み返しましたが、18歳でこれを書くってどういうことなの、と改めて思うほど完成度が高いミステリでした。

他には風見潤さんの『幽霊シリーズ』や中原涼さんの『アリスシリーズ』なんかも読んでいました。

コバルトもティーンズハートもどちらも少女向けではありますが、後に一般文芸に移られた作家さんも多く、決して子供向けと侮って書かれたものではなかったと思います。児童書でも

同じですが、やはり大人が読んでも面白いと思えるものも多く、対象がティーンというだけできっちりと作り込まれた物語も多かったですね。

主人公の一人称で語られることが多いのが少女小説の特徴と言えるとおもうのですが、この書き方がなんとなく主人公と自分が近しく感じられて読みやすいんでしょうね。

可愛らしい絵柄の挿絵もまた子供心をくすぐります。

一般文芸で描かれる青春ものとも違うし、児童書よりもエンタメ要素強めですし、一口に言えない魅力があって独特のものでした。

今でいうキャラクター文芸になるんでしょうが、最近のそうした作品とも少し毛色が違うんですよね。

この頃もラノベブームと言っても良い時期ではないかと思っています。少女小説ではコバルトとティーンズハート、後にティーンズハートから派生したホワイトハートなどがあり、一方で角川から『ロードス島戦記』や『アルスラーン

戦記』、『宇宙皇子』などのファンタジー系花盛り、ノベルズ系も勢いがあったんですよね。懐かしいなあ。


なんだかまとまらなくなってきました💦

ただこの辺の本って児童書や絵本と違って全然通ってない人も多くて、なかなか思い出話できないんですよね……。それがけっこう寂しくもあり。

というわけで、同好の士がいらっしゃったらぜひコメント頂けますと小躍りして喜びます!

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