小さい魔女
さて!今回も新しい世界の童話シリーズからです。
『今も大好きな児童向け文庫』の記事で紹介した、『大どろぼうホッツェンプロッツ』の作者、プロイスラーの作品、『小さい魔女』。
人気のある作品ですし、映画にもなったのでご存じの方も多いと思います。
一応簡単にあらすじなど。
小さい魔女は年は127歳。127歳でも魔女の世界ではまだまだ子供同然で一人前とは見てもらえません。魔法もまだまだで失敗も多く、相棒の喋るカラスのアブラクサスも呆れ気味。
そんな小さい魔女ですから、ブロッケン山に魔女たちが集まって踊り明かすワルプルギルスの夜にはまだ参加させてもらえません。
ところが小さい魔女はこっそりワルプルギルスの夜に参加します。当然他の魔女に見つかって、責められます。それでも一人前になりたい小さい魔女は食い下がり、とうとう皆の前で、1年後に一人前のいい魔女になる事を約束するはめに。
小さい魔女は失敗しながらも1年後のワルプルギルスの夜を夢見て“いい魔女”になるべく奮闘するのですが……。
魔女修行、というと『魔女の宅急便』が思い浮かびますが、小さい魔女はキキよりもだいぶはねっかえりで豪快です。ちょっとやそっとの失敗ではへこたれたりしませんし、意地悪な先輩魔女にもやり返したり。アブラクサスの皮肉にもめげず、辛抱強く魔法を1つ1つモノにしていく頑張り屋さんでもあります。
“いい魔女”と言うからには人の役に立たなくては!と奮闘する小さい魔女。困っている人たちや動物たちを魔法で助けていくうち、小さい魔女は感謝されることの喜びを知ったり、人との繋がりに暖かいものを覚えたりと成長していきます。
笑ってしまうような失敗もする小さい魔女だけど、その姿が可愛らしくて、頑張れ!とつい読みながら力が入ってしまうことも。
そして迎える、ワルプルギルスの夜の参加資格を問う魔女会議の日。
ここで“いい魔女”の定義がひっくり返されるうえに先輩魔女からのチクリで小さい魔女は非難されるのですが……。
ここからはもう本当に痛快な展開です。
理不尽だ!と思った小さい魔女はガッツリやり返します。ここが最高に楽しくて、妹と箒を持って「ワルプルギルスのよ〜る〜」と真似したのは黒歴史(笑)。
あと食べ物がやっぱり美味しそうなんですよね〜。キツネにあげたソーセージ、美味しそうだったなあ。それから焼き栗に憧れたり。
魔女のお話ではありますが、1人の少女の成長譚として楽しめますし、なにより魔法をどう使うか、は、どう生きるか、に通じるところもあり、なかなか味わい深い作品で、何度も読んだ大好きな本です。
なんでもできる魔法使いもいいけれど、半人前の魔女も素敵!
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