鬼は密かに妖魔を狩って人を救う
@hamagase
序
鬼
鬼は人の群れの中に潜んでいる。
その才を見い出せず、ひっそりと隠れている。
中には人に笑われ、自信を失い、隠れて人知れず生きようとする鬼もいる。
鬼は人にして人にあらず。
どれだけ才があろうとも、社会が求める才を持っていなければ、笑われ蔑まれる。
どれだけ他の人にできないことができても、テストでいい点数を取らなければ認められない。
他の人と違う行動をすれば、奇行と言われ、排除される。
どれだけ才に溢れていても、周囲がそれを認めようとしなければ、居場所などない。
社会から外れ、何もできないものを、人は鬼と呼ぶ。
悪いことをした子供に向かって、「あんまりへんなことばかりしていると鬼になっちゃうよ」なんて言う親は少なくない。
鬼は人にして人にあらず。
社会の規律を守るため、社会にとって不都合のない人を量産すべく、国は思考を統制する。
人から外れたものの存在があって、社会は成立する。
それは精神的にも、そして物理的にも言えることだった。
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