第24話 宝石で成り上がったペテン師

フェライクは手をグーにした。

「そんな小さな生き物。グーじゃ当たりにくいんだよねー!」

彼の手はだんだん巨大化していき、やがて顔よりも大きくなった。

「小顔効果になるかな〜?」

「(あんなデカいグーパン、避けられないって)」

ルーは迫り来る巨大な拳を超スレスレで避け、フェライクの足元へ来た。

ズドォォォォォン

拳は地面に大穴を開けた。ルーがゴクリと唾を呑んだ。

「流石はあの亀を殺したカンガルーだ。しかし、これはどうかな?」

彼は巨大な足を上げた。ルーを踏み潰す気だ。ルーはバック転で回避し、地面に足がついた瞬間、彼の巨大な足に蹴り込んだ。

「そんなちっぽけな足じゃ、俺には効かない。やや苦戦するかと思ってたが、どうやらそんなことも無さそうだwwwww」

フェライクは高くジャンプした。あの巨体で、あれほどのジャンプをするとは。

「(高い!僕よりも高いって!!!!)」

ウルトラジュエルは身体能力も向上させるらしい。ルーは敵に背を向け、走って避けた。


ズドォォォォォォォォカァァァァァァァン

「ぐわあっ!」

避けたは避けたものの、衝撃波でルーは転んでしまった。

「あれぇ?避けられなかったの。ならばこの戦いとお前の人生に終わりを告げよう」

フェライクはまた足を上げた。

「(⁉︎………ヤバい、負ける!!!!!!)」

ルーは必死に立とうとしたが、足をくじいて立てない。

気づけばルーの頭上に足が。

「⁉︎…!」

ルーは足を後ろに向けて、潰そうとするフェライクの足を抑えた。

「wwwwwwww……ありゃ?な、何故だ!手応えがありすぎる。潰せないぞ!!!」

「(ヤバい…骨が折れてきた…」

ルーは足を下ろすと、即座に横に回転して避けた。

「……泥試合だな。ならばそろそろ本気を出すか」

フェライクがニヤリと笑った。その直後、ルーの周りに穴のようなものが空中に現れた。

「⁉︎…なんだ⁉︎」

穴の中から人よりも大きい宝石が飛んできた。約20個もの宝石は全てルーを狙っている。ルーは宝石の弾幕をギリギリ引き寄せて、バック宙して避けた。

ズドォォォォォン

「(体術だけでなく、妖術も使えるのか⁉︎)」

「何ボケーっとしてるんだ。避けなきゃ死ぬぞ〜?」

ルーが上を見上げると、遥か上空から氷柱のような宝石が雨のように降ってきた。

「⁉︎……」

かなり不規則で、しかも降下中も横に移動するようだ。ルーが避けた先に降ってきたからだ。

「動きが読めない!ならば」

ルーは上空の宝石に向かって石を投げた。なんとか相殺できるようだが、それでも量は減らない。

ズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュズキュ

「……速度が速い!避けきれるか⁉︎」

「上だけ見てても勝てないよ」

フェライクのてのひらに巨大なルビーが現れ、それらを勢いよく投げた。

「(今度はなんなんだ!)」

ルーがルビーから遠ざかろうと、後ろへ下がると、背後にもルビーが降ってきた。その途端。


ズドォォォォォォオン

なんと、ルビーが大爆発した。もろに爆発を受けたルーは、周辺のルビーへ飛んでいく。

「(ルビーの爆弾か⁉︎)」

「一度受ければデスコンボwwwww。楽しいだろぉ?宝石に囲まれたまま死ぬなんて」

「(何か蹴るものさえあれば!そうだ!)」

ルーはルビーをわざと爆発させたあと、ルビーの破片を蹴って、猛スピードで別のルビーに飛んでいった。

「タイミングよく爆発させれば!」

「タイミング?何が?」

ルーは視認できないほどのスピードでルビーに近づき、蹴り上げた。そのルビーはフェライクの顔面へ。

「ほう、ルビーを顔に当てると……。良い発想だが、残念ながら無理だwwwww」

ルビーはルーの狙い通り、フェライクの顔面付近で爆発した。しかし、フェライクには一切ダメージが入っていない。

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