第5話 脱出

ルーが蹴りの構えをする。

「流石に、無理じゃないすか?」

「いや、いける」

ルーが飛び蹴りした。

ズドォォォォォォォォカァァァァァァァン



「………ん?……え、いけたんですか⁉︎」

「…うん。いけたみたい」

「このカンガルー怖ぇ!!!!!!」

鳥が絶叫した。それもそのはず。壁はボロボロに砕け散り、蜂が目の前に姿を現したからだ。

「……!なんて強さだ…」

蜂は驚いた顔をし、低い声で喋った。

「おお出たなコミュ障!鳥の力を思い知れ!www」

鳥は蜂に向かって突撃した。蜂は避けようともせずに、じっとホバリングする。

「自らの死を受け止めるの?www。あぁそう!じゃあね!!!!!!蜂くん!」

突然鳥がいる場所に、壁が突き出して、鳥を吹き飛ばした。

「イテェェェェ⁉︎⁉︎⁉︎なんd」

ズドォォォォォォォォカァァァァァァァン

「⁉︎……」

「⁉︎…鳥さん!!!!!!」

鳥は落ちてきた天井に潰された。赤い血が隙間からドロドロと流れてきた。

「……鳥……まだ名前も聞いてなかったのに…。おい蜂!どう責任とる!!!!!!」

ルーは怒りを露わにする。ティアはショックのあまり言葉が出なかった。蜂は口を開いた。

「この神殿に迷いこんだ時点で死は確定していたのだよ」

「⁉︎…どういうことだ⁉︎」

「フン、そんなこともわからないか。私はテンプル。この神殿は大昔、生物の大絶滅をそそのした魔術師を封印していたのだ。だが、いつのまにか魔術師はいなくなっていた。私はこの神殿に動物たちを閉じ込めて、十二支のライバルたちを排除しようとしていたのだ」

「つまり、僕らを迷わせたのも君なの?」

「そうだ」

ポッッッッ

ルーの頭上に湯気が立った。

「なんて卑怯なやり方だ!」

「そうですよ!ズルいですよそんなこと!!!!!!」

「何言ってる。お前らが勝手に神殿に入ってきたんだろうが!」

確かにテンプルの言う通りである。しかし、仲間が殺されたことに怒りを覚えたルーに融通は効かない。

「石か蹴りでお前を倒す!!!!!!」

「ハハハハ、私を?お前が?無理言うな。この神殿内にいる限り、私に指1本触れることすらできない。どういうことかわかるか?」

「……わかんない」

「あっそ。なら教えてやる。私はこの神殿と融合した!!!!!!!!!!!!」

「………………え??????」

テンプル曰く、神殿に寄生して無双しながら十二支を目指すらしい。

「お前らは私の栄養となり、私は十二支を目指す。どうだ?いい提案だろ?」

「いやダメじゃないですか。とにかくルーさん!ここは一旦脱出しましょう!早くしないと蜂n」

「何?逃げられるとでも思ってんのか?鹿とカンガルーが、神殿に勝てるとでも思ってんのか??????」

「くくっ…………うん!ティア、一旦逃げよう!」

「逃げても、ここら辺にはがいるから、そいつに喰われるだけだろうな!!!!!!」

テンプルの最後の発言を、2匹は聞いていなかった。いや、聞いている暇がなかった。神殿内には閉じ込められた動物の他に、煉瓦が積み重なったような見た目の触手が、うねうねと徘徊している。

「うわぁなんだこいつら!!!!!!」

「逃げましょ兄貴!!!!!!」

2匹が角を曲がった先に、狐が2匹触手に襲われていた。

「危ない!!!!!!」

ルーが石を投げて触手を撃ち砕く。狐はため息をついた。

「ふぅ、危なかった」

「兄貴ィ、俺たちこの神殿に喰われちゃうんすか⁉︎」

「バカやめろ!」

「大丈夫か⁉︎」

ルーとティアが駆け寄った。

「ああ…、大丈夫だ。ありがとうな。ここは協力しよう。お前たち名前は?」

「ルー。ルー・カンガ」

「僕はティアです」

「そうか。俺はフォッキー。こいつは俺の子分のフォク」

「兄貴を助けていただき、ありがとうございますっす」

「すっす…ってwwwww」

「口癖なんすよwwwww」

ルーとフォクは笑い合った。こういうピンチの時こそ笑い合うのが良いのかもしれない。

「とにかく、まずはここから脱出しましょう」

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