第4話 蜂

「会うは別れの始め」

ことわざを言いながら、カエルが天井から落ちてきた。

「うわなんだお前!」

「カエル?」

「いや、見た目だけでは実力を見切ることはできません!気をつけて」

「人は見かけによらぬもの。そうじゃ、儂はもう何十年も十二支の大会に参加しとる。しかし、今もまだ生きておる。お主らは儂のような英雄と出会えて光栄だろう。そして、英雄に殺されて光栄だろう?」

カエルが泡を吐いた。泡はまるで生きてるかのように、3匹に向かってくる。

「シャボン玉くらい!」

ルーは泡をキックした。すると。

「あれ⁉︎」

「ルーさん!!!!!!」

なんとルーの足は泡に吸収されてしまった。

「あれ?引っかかって取れない…」

「そうじゃ。その泡は触れたもの全てを閉じ込める。お主は一生そのままじゃ」

「そんなぁ!!!!!!!!!!!!」

しかも足を動かそうにも、シャボン玉はびくともしない。それどころか、シャボン玉が動くと、足も動くのだ。

「寄生みたいなもんじゃん、こんなの」

「あー、哀れじゃのう」

ティアと鳥は焦った、

「どうするんですか!ルーさんこのままじゃ、十二支目指せませんよ!!!!!!」

「うーん、移動は全てシャボン玉に任せろと……………いや、ならばシャボン玉を動かせばいいんじゃないか⁉︎⁉︎」

「(よく足上げたまま、こんなに話せるなぁ。疲れないのか⁉︎)例えば、どういうこと?」

「鳥、風を起こして」

「え?」

「早く!このシャボン玉に!!!!!!」

鳥は納得すると、翼で風を起こした。シャボン玉は風に乗ってふわふわと飛ぶ。カエルに向かって。

「ん?」

「石でも喰らえ!!!!!!」

ルーはカエルに向かって石を投げる。カエルはジャンプしてかわした。

「あ」

「引っかかったな!!!!!!」

なんとカエルの頭上には、ルーのシャボン玉があったのだ。カエルは作戦通り、シャボン玉に閉じ込められた。代わりにルーの足は解放された。

「何⁉︎お主ら、卑怯者!!!!!!有象無象うぞうむぞう!芋の煮えたもご存じない!下衆げすの勘繰り!」

「泳ぎ上手は川で死ぬ。毛を吹いてきずを求む。どうですか?」

「クソォう、儂よりも上手いこと言いやがって、ああ言えばこう言う!」

「負け惜しみですか。哀れじゃのうwwwwwwwwwwwwwwww」

全て特大ブーメランを受けたカエルを尻目に、3匹は奥の扉を開ける。

「おい!!!!!!儂を置いてくな!!!!!!置いてくなァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」







扉の先には出口が!

「やっと出口ですねぇ」

「ああ疲れた〜」

3匹は嬉しさのあまり、走っていくと、いきなり壁が現れた。

「えぇ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」

「なんで⁉︎」

「壁⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」

壁はいきなり現れたのにも関わらず、[え?なんかありました?w]みたいな顔?で、聳え立っていた。

「ん?なんかここに隙間が」

鳥が壁に入ったひび割れに気づいた。かなり小さいが、鳥には奥の様子が見えるらしい。

「どうなってるの?」

「待って。……………ん?蜂?」

「はい?蜂ですか?」

「うん。蜂が壁を支えてる。……ねぇ、そこにいる蜂?」

突然壁の奥から聞こえてきた声に蜂は驚いた。

「うわぁ⁉︎なんだ⁉︎ヤベェっ……………………………………………………………………………」

急にシーンとなった。鳥は話しかけ続ける。

「ねぇそこにいるの蜂だよね?そんなとこで何してるの?」

「………………」

「黙ってないでさぁ?コミュ障?」

「…………………」

「ダメだ。全然話しても返事してくれない」

「おそらく、大蛇やカエル、そして僕たちを迷わしたのは、その蜂でしょう」

「なるほどね!とりあえず、この壁を破壊してみたら、いいんじゃないかなぁ?」

ルーが提案する。ティアが苦笑いした。

「そ、そんなことできますかねぇwww」

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