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ふゆの子やーい! そんなにいそいでっぱをとさないでよ~!」


 部屋へやの中から、男の子がさけびました。


「どうしてだい?」


「そこの木の葉っぱが全部ぜんぶちたら、ぼく天国てんごくかないといけないんだって!」


 よくみると、部屋の中の男の子は、昼間ひるまだというのに、ベッドにていました。


だれがそんなことをっていたの?」


「お医者いしゃさん。僕にはかくしていたみたいだったけど、いちゃったんだ」


「それはかわいそうに…。でもどくだけど、冬の子はとめられないんだ」


「うん。僕、天国にくのはへっちゃらなんだ。けど、もうすぐ僕の誕生たんじょう日なの。お母さんもお父さんも、僕も、誕生日をとってもたのしみにしているから、誕生日の日まで、葉っぱがあればいいんだ」


 冬の子は、だんだんこの子の力になってあげたいとおもいはじめました。


「誕生日はいつなんだい?」


「あと一ヵ月いっかげつだよ」


 もう冬の子がてしまったこの町を、あと一ヶ月もあきにしておくのは、大変たいへんむずかしいことでした。しかし、冬の子はめました。


「わかった、じゃあ、誕生日までだよ。約束やくそく。冬の子をとめたのはきみがはじめてさ」


「ありがとう! 冬の子さん! 約束するよ」

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