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それから、雨の日でも公園のベンチにななのちゃんは来ていた。毎日、僕は、近寄っていて何かしら声を掛けていたのだけど、黙ったまま絵を描いている時もあった。


 夏休みになって、朝から来ている様だった。僕は、気になって、お昼休みに寄って行ってみて


「ななのちゃん お昼ご飯は?」


「ウン おにぎりと水筒持ってきてるよ 梅干しとかキュウリの塩もみなんだ でも、大根の葉っぱ炒めたのは、あんまり好きじゃぁないの」


「そうか 食べてんならいいんだけど なんにもないんかなって思ってな」


「大丈夫だよ シュウ君 心配してくれてんだぁー」


「まぁな 一応 不思議ちゃんだからー」


「なによー ななちゃんには シュウ君のほうが不思議ちゃんだよ 私みたいな子に声掛けてきてー 彼女とかに叱られないの?」


「あぁー 彼女なんか居ないよ そういう縁は無いなぁー」


「そう とりたてて女の子にもてる雰囲気ないもんなぁー」


「悪かったなー こっちに その気が無いだけやー」


「うふっ でも シュウ君 なかなかいけてるよ」


「からかうんじゃぁないよ 子供のくせして」


「・・・そんなのー 直ぐに ななは大人になるよー」


「そうか そうか いつかみたいに おしっこ漏らしたみたいになんなきゃぁーな」


「・・・あー だからっ ちゃうってー あん時はぁー もうぅー やだぁー」と、ななのちゃんは、僕の肩を叩いてきていた。


「へへぇー あのさ あさって 僕は休みなんだ  こどもの森に行ってみないか? 1時間ほど歩くけど スライダーとかあるみたいだから いつも ここじゃぁ つまんないだろー」


「・・・なんでー なんで、ななを誘うの?」


「なんでって ななのちゃんが楽しんでくれればいいかなーって」


「・・・行く 本当に連れてってくれるの?」


「ああ もちろん 君が良けりゃー」


「ななちゃんは 楽しみに してる」と、小さな声で下を向いて答えていた。 

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