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 それから、世間の休日の間には、あの子は公園に来てなかったみたいだった。僕は、その間、おにぎりを用意して持っていくようにしていたのだが。


 そして、小学校が始まる日。仕事の帰りに公園を見てみると、あの子が座っていた。僕は、傍に寄っていって


「やぁ 来てたんだ 隣に座っていいかい?」


「・・・」 僕は、構わず座っていた。だけど、その子は自分の座っているところをずらすようにしていて、少し避けているような感じだった。


 見ると、今日も何かの紙に鉛筆で街の絵を描いていた。それも、かなり細かく丁寧に描いていた。おそらく、上手というのだろう。だけど、よく見ると何かのプリントの裏みたいだった。ランドセルを膝の上に乗せて、それを下敷きがわりにして、街並みと手元の紙を交互に見て、僕のことなんか無視しているようだった。確か、この前までは髪の毛を両方に二つに分けていたと思ったが、今日は後ろにひとつにしてゴムで束ねていた。半袖のチェックのブラウスを着ていて、細い首がのぞいていたのだが、その襟元は擦り切れてきているようだった。申し訳ないけど、僕はこの時、この子はあんまり家の人から構ってもらえてないんだなって考えていた。


 連休中に遊びに行ってきたという職場のパートさんからもらったどら焼き饅頭があったのを思い出して、


「もらったんだけど これ食べるかい? 僕はあんこ苦手なんだ」と、彼女の横に包みのまま置いた。彼女はそれをチラッと見たけど、又、無視したように絵を描き続けていた。


「じゃぁー じゃますると悪いから」と、僕が立ち去ろうと歩いている時


「ありがとう おじさんって怪しい人じゃぁないよネ」という声が背中から聞こえた。振り返ってみると、彼女はそのどら焼きを喰らいついているようだったけど、僕には彼女の小さな背中しか見えなかったのだ。


 だけど、帰り道、ようやく打ち解けてきてくれたような気がして、僕は晴れやかな気分だった。だけど、おじさんは無いだろー

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