1-3
その日は、少年サッカーの試合なんかも行われていたため、帰りがいつもより遅くなってしまって、もう辺りも暗くなり始めていた。そして、公園のほうを見ると、まだ、あの子が居るのだ。僕は、気になったものだから、驚かさないようにと大きな足音を立てて近づいて行って
「まだ 見ていたの? もう暗くなるから・・」
「・・・」
「あのさー お家の人も心配するんじゃぁない? 家 この近く?」
「・・・」
「僕の名前は 北番
「・・・」
「もう 知らない人じゃぁないだろう 一人っきりじゃぁ危険だから送ろうか?」
相変わらず、前を向いたままだったけど、ポツンと
「もう 帰るから・・ いいの 独りで」
「そうか 大丈夫かい?」と言うと、その子は走って坂道を下って行った。真直ぐに前を見て、振り返るつもりも無かったみたい。その様子を僕は坂の上から見守っていたのだ。束ねた二つの髪の毛も揺れている感じもなかったので、そうとう早く走っているのだろう。
僕は、その子が見えなくなるまで、そこに居て、ようやく自転車をこぎ出して坂道を降りて行った。何だか、その子に追いつくのも悪いような気がしていたからなのだ。
帰りにスーパーに寄って、おかずとかを買っていたのだが、ふと、おにぎりに入れる具材にあの子は何が好きなんだろうとか、頭をかすめていた。買い物カートを押しながら、あの子と同じくらいの女の子がお母さんに食べたいものをねだっている様な後継が眼に入った。その様子を見て、僕が、余計な事をする必要ないよナァーあんまり、変なことをすると警戒されるナと、思い直していたのだ。
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