第5話 夏雨の攻撃~非モテ女子、迷信と戦う(その一)~

 今年も気づけば12月。最近、寒さがやたらと身に堪える今日この頃……なのであえて、アツい夏の思い出を書こうかと思う。

 今回は『雨女』の疑いをかけられた、非モテ女子(作者)による『悲惨な夏の記憶』だ。


 ではいってみよう。


『雨女』


 その昔――何故か自らを妖怪だと謳い、マウントをとる(主に)女性が、数多く存在した。


「ゲリラ豪雨」や「線状降水帯」等の言葉がまだまだ身近でない時代、急な雨や雷の存在に人々は『特別感(神秘的要素)』を少なからず抱いていたのだと思う。


 始めに言っておくが、私は『雨女』ではない。

 当然だが自分からそれを発信した覚えもないし、そもそもその存在を信じていない。


 しかしだっ!


 気づけば20歳前後の友人(女子)達が、どんなに天気予報が「晴れ」だと伝えても、皆私と遊ぶ際、折り畳み傘を持参する事態になっていた。


 理由は、想像し得ないほどに肥大をした噂話。


 ある晴れた夏の日に、友人とプールへ行く――結果、雷雨に見舞われた。


 それだけの事なのに……。 


 まあ確かに流れるプール1周目で、晴天から突如激しさMAXの雷雨が発生し、プールが急遽閉園になったが、どう考えても私の仕業しわざではない。


 ただ『雷雨プール』以前に行った旅行先で『豪雨=観光0』の悔しさも残っていたのだろう。

 疑惑の目は、数々の豪雨イベントに皆勤参加をしていた私へ、がっつり向けられた。


 しまいには大切な用事を予定する友人から、電話やメールで私の外出確認をするのが恒例にまでなっている。


「つか、たまたまでしょ!?」


 どこまでも認めない私に対し、敵(豪雨)はその牙で容赦のない攻撃を開始した――。



~攻撃エピソード、その1~


 ある年の夏、女子4名で『海』旅行を計画――。


 私は新たな殿方との出会いを夢見て、すこぶる気合が入っていた。

 曖昧だか、この時は彼氏なしor浮気をされてフラれる寸前だったと記憶している。


 因みに私以外の友人3名は、特に異性との出会いを求めてはいない。お世辞抜きに皆美人で、私のように異性不足で困っている人生とは無縁だ。


 一方、恋愛に惨敗しまくりでヤケを起こしていた私は、なんなら彼女達を餌に、寄ってくる殿方を捕獲しようとまで目論んでいた。


 小さめのビキニを買い、ウエストを絞り、板胸の改造にいそしむ日々……。

 マッサージやサプリメントはもちろん、アホ丸出しだか「より大きさ」を求めて、吸引器まで試した。


 そうして迎えた決戦当日(旅行の出発日)。

 自身を磨き上げた私は、いよいよ車へ乗り込む。

 しかし背後には、超大型台風が迫っていた――。


      次回へ続く(本日の夕方に投稿予定)。

      

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