【台本】ASMRボイスドラマ アマガミ Vol.1 桜井梨穂子編
監修・高山箕犀、鈴木悠太(シナリオ工房・月光)/ミミクル
第1話 ソウダン/梨穂子から呼び出された
○茶道部部室・玄関(昼)
SE 主人公の足音
#部室前の足音が止まる
SE 扉の開く音
#主人公が扉を開けるより早く、扉が開く
梨穂子
「あ、おかえりー! じゃなかった、いらっしゃい! 待ってたよー」
SE ひゅーっと風の吹く音
梨穂子
「わわ、風冷たいっ! 入って入って!」
#主人公、梨穂子に促されて茶道部部室内に入る
梨穂子
「外、寒かったでしょ? って、うわ! ほっぺた、真っ赤! もうすっかり冬なんだねぇ。」
「上着脱ぐ? ハンガーならあるから……でも、寒いからそのままのほうがいっか。」
「あはは、こんな話してると、なんだか家に帰ってきたみたいだね。」
「……へ? さっき、おかえりって言ってた? えー、そうだった? わざとじゃないんだよ? 」
「茶道部に来ると、なんだか家にいるみたいで安心しちゃってさ。」
「あっ、私、お茶淹れてくるから。先にこたつ入ってて。」
「でも、こんなに寒いと先にお風呂であったまりたくなっちゃうね。」
「あ~、温泉か~。それもいいかも~♪ ゆったり温泉に入って、旅館で美味しいもの食べて……もちろん、あなたと一緒にね。」
「……なんか、ふたりでこんな話してると、ちょっとドキッとしちゃうね……。」
「だ、だってさ、(小声で)なんだか新婚さんみたいって思っちゃって……。」
「な、なーんてね! あははは! それじゃ、お茶持ってくるねー!」
SE パタパタと小走りする音
#梨穂子、少し焦ったように台所へ向かう
#時間経過
#お茶を淹れた梨穂子、主人公のもとへ戻ってくる
梨穂子
「おまたせ~。熱いお茶淹れてきたよ~。はい、どうぞ」
SE テーブルに湯呑を置く音
梨穂子
「ふー、おこたおこた」
#梨穂子、主人公の向かい側へ座る
SE こたつ布団がめくれる音(バサッ的な)
梨穂子
「あったか~い♪ 台所、すっごく寒くて。すぐこたつが恋しくなっちゃうんだー。」
「えへへ、こたつってだら~ってしちゃうよねー。」
「行儀が悪い? いいんだよー。二人きりだしね♪」
「は~、テーブルがひんやりしてて気持ちいい~。」
「でも、こたつに入れた手と足はポカポカで……。」
「やっぱり、こたつのある部室って最高だね~♪」
《そんなにこたつが好きなら、ここに住んじゃえばいい》?
「さすがにそれはやだよー。ここ、お風呂とか無いし。
「でも、こたつがあるのは確かに捨てがたいよね……。」
「そうだ、あなたの部屋にこたつ置こうよ!」
「って、そんな顔しないでー。」
「部屋が狭くなるから嫌なのはわかるけど、そこをなんとかー。」
「もしこたつ置いてくれたら、毎日でも入りに行くよ?」
「あー、でも、本当にこたつが置いてあったら、それはそれでマズイかも。」
「だって、そのまま住みついちゃいそうだもん。」
「……あれ、どうしたの? 急にうつむいて。え……」
#梨穂子、ガバっと起き上がる
梨穂子
「(焦り)い、今のは冗談だからね!? 本気にしないでね!?」
「べ、別に純一あなたと一緒に住むのが嫌ってわけじゃないよ?」
「で、でもそういうのはもっと大人になってからというか……。」
「ほら、美也ちゃんだっているし! 余計な気を使わせちゃうかもしれないし!」
「そ、そういうのはよくないよね! あはは、あははは……」
#梨穂子、話題を強引に変える
梨穂子
「あのさ、こたつで一番食べたいものって何?」
「ふむふむ、やっぱりみかん? 王道だね!」
「私はね、アイス食べるのが好きなの。」
「あったかいと冷たいが一気に味わえて最高なんだよ?」
「もちろん、あったかいお茶とおせんべいも捨てがたいよね。」
「ほっとできる組み合わせじゃない?」
「あとは、おもちかな? お正月限定になっちゃうかもしれないけどさ。」
「食べ物との組み合わせばっかり? しょうがないよー。」
「だって、こたつで食べると美味しいもの、たくさんあるんだもん。」
「えーっと、おうどんでしょ? おでんでしょ? あとは……。」
「うー、食べ物のことばっかり考えてたら、なんだかお腹空いてきちゃったかも~……。」
「……って、私たち、何の話してたんだっけ?」
「こたつの話をしたくて呼び出したんじゃないよ?」
「もっと重要なことが――。そうだ! ポロツキー! ポロツキー食べよう!」
「何言ってるんだって……あーっ、そうだよね。」
「ちゃんと説明しないとわかんないか。えへへ。」
「……今度、茶道部のお茶会で使うお菓子を買いに行くことになったんだけどね?」
「るっこ先輩と愛歌先輩が《ほしいお菓子ある?》って聞いてきたの。」
「だから私、テレビでちょうど見たポロツキーの『エゾバフンウニ味』がいいって言ったんだ。」
「でも、先輩たちは《そんな謎のお菓子よりも、普通のおまんじゅうにしよう》って……。」
「あー、やっぱりエゾバフンウニ味はダメかー……って、私も諦めたんだけど……。」
「先輩たちが《ちょうどいい機会だから、テストで次期部長の実力を試させてもらう》って言い出したの。」
「もし合格できたら、私にお菓子の決定権を譲って、エゾバフンウニ味も買ってくれるらしいんだ。」
「……でも、そのテストの方法がね、かくし芸なの……。」
「先輩たちをアッと言わせるような出し物を見せられたら、合格だって……。」
「でも私、かくし芸なんて言われても、何をどうしたらいいかわからなくて……。」
「あなたなら良いアイディアを出してくれる気がしたから、今日来てもらったの。」
「《お菓子を決める権利を懸けた勝負が、なんでかくし芸なんだ?》」
「私にもわかんないよ~!」
「私も最初は、先輩たちの急な思いつきなんだろうなって思ったんだけど……。」
「ふたりとも、なんだか真剣な顔してて……《りほっちには期待してるからな!》って言ってくれたんだ。」
「きっと、かくし芸でテストするのにも深い意味があると思うの。」
「それなら、私も全力で先輩たちの気持ちに応えなきゃ……!」
「だから……お願い、 かくし芸の出し物、一緒に考えて!」
《第2話へ続く》
★mimicle(ミミクル)にて配信中★
『ASMRボイスドラマ アマガミ Vol.1 桜井梨穂子編』(CV・新谷良子)
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