41話  園バス

 殿の転封てんぽう(てんきん)で、若君は転園している。


 若君が3歳を迎えた、とある地である。

 そこでは、かわいいに分類される、どうぶつは皆、園バスに転生していた。たとえば、いぬ、ねこ、うさぎ、パンダである。バスの全面が顔で、耳つきはマスト。

 視覚がバグる汽車の園バスもあった。

 それが、市内を東から西へ、南から北へと走っている。それが普通と疑わなかった。


 しかし、転封てんぽう先の地には、どうぶつに擬態した園バスは1台も走っていなかった。

 バスの車体に、かわいいイラストが描いてあるだけである。

 Mは衝撃を受けた。

 どうぶつ顔バスは、当たり前じゃなかった。


 お国柄があるのか。

「園長! 西の園が、わんわんバスを導入して、幼子の入園が倍増したそうです!」

「こしゃくな! では、わしら東の園は、にゃんにゃんバスを導入するぞ!」

 みたいな、仁義なき戦いがあったのか、なかったのか。


 汽車バスは、道路走っていると、しゅーるである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る