40話  短パン、はかない

 読んでから時間返せとか言わない人が好き。

 『Mさんの知らない世界』の、Mで~す。

 今日は、りすなーさんからのお便りを紹介します。

『でもトランクス派の殿方って、長ずるとパンツ一丁でウロウロするようになりませんか?』


 それがですね。

 殿と若君は、ウロウロしません。


 殿は、すね毛を出す風習がありません。武士だからかな。

 ちゅーぶ、とか、はわい、とか、とにかく夏って感じの語句から、いちばん遠くにいる。素足にサンダル姿も見たことがない。


 格子柄模様チェックのシャツをズボンから、あうとにして出しているときと、いんにして入れているときがあって、それはなぜにと問うたところ、かじゅある気軽と、すまーとかじゅある型苦しくはないが、きちんとしたの違いと言うておりました。そのくせ、お出かけに、いちばん着古した上下を着ようとするから、こちらとしては気を抜けません。


 そして、若君ですね。

 最近、ここ、若君ネタが多くて申し訳ない。

 ネタにしても他人に迷惑がかからないのは、身内ネタしかないから。

 

 お口が固い子でねぇ。

 寺子屋にあがるまでも、ときたましか、しゃべらない感じで。

(たぶん、この子は心の中で、いっぱい思っている)と、見守ってきました。


 Mも殿方も、おしゃべり上手という性格ではないから、これは血筋ですか。

 殿の父、きょうだいが、しゃべらないにおいては、もっとすごいかも。

 

 その若君が、幼子だったときの話ですが。

 春になっても、夏になっても、園のジャージの体操服の短パンをいてくれない。

 いっつも、若君がくのは、ジャージの長ズボン。


 すいぶん、あとになって、「なぜ、短パンをはかなかったのじゃ?」と、若君に問うたら、「1回、こけて、ひざ小僧すりむいて、いやだなぁと思ったから」という回答をいただきました。


 そつえんあるばむの写真が残っております。

 幼子たちが、すいかを食べている写真。他の幼子は短パンなのに、若君だけ、ジャージの長ズボンをいている。

(え、うちだけ?)

 遅かりし。

 かなり、変わり者の印象を残したことでしょう。


 その若君は成長し、夏は、すててこならくようになりました。

 が、それも、夏合宿で旅館の浴衣を着たとき、すね毛が丸出しになるのが、いやだからという理由。


 夏が来ても、すとっぷ、ざしーずんいんざさん、しようと、わがの男どもは、短パン、およびパンツでウロウロしないのです。

 短パンをかないと出られない部屋に閉じ込められたら、くと思います。

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Mさんの知らない世界 ミコト楚良 @mm_sora_mm

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