32話 返してもらおう
Mはネット小説を投稿している。
パソコンには、使用する者の語句の履歴を提示してくれる機能があるが、これが思わぬまちがいを生む。
先日も、『見捨てられ皇子の~』というお話の中のキャラクター、ユーフレシア皇子がユーフラテス皇子になっていて、ご指摘を受けた。
そう、こういうミスが起こるのである。
3つのお話を順次、考え中だと、さらにそれは起こりやすくなる。
そして、『見捨てられ皇子~』、主人公たちが、ちょっとした危機に遭遇する回を考えていたのだ。
保存する前に下書きを見返したら。
『ティッシュを返してもらおう』
ユーフラテス皇子、もとい、ユーフレシア皇子が言い切っていた。
正しくは。
『ティフィンを返してもらおう』だ。
えっと、先に『第6王子~』の方のお話、考えていたんだな。
きっと、その語句履歴が1番にあがってきたんだな。
Mは迷いなく、それを打ち込んだんだな。
よかったのだ。なのに。
ものすごく笑ってもらえる機会を自らの手でなくしてしまったという、どもならん気持ちが、飲み干したアイスコーヒーのガラスコップの氷にまといついた香りほど、かすかに残っている。
※拙作未読の方には何のこっちゃの回ですいません。
以下、参照まで。
『見捨てられ皇子の十三詣り』
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