露出狂編(十三)

 今日も楽しく授業をしていたら、もう時間になっちまったらしく、終業のベルが鳴った。

 クリスとやってると、二時間なんざあっという間に経っちまう。

 延長があるなら、金を払ってでもお願いしてえくれえだ。

「お前といると楽しいよな」

 俺はクリスを上から見下ろしてしみじみと言った。


 クリスは体を売っていた時に、客と色んなプレイをしていたらしく、俺の要望にも余すところなく答えてくれる。

 こんな相手は滅多にいねえから堪らねえ。

 本当にクリスはどこまでも俺の好みだ。

 しかも、合法的に毎日出来るなんざ楽しくて仕方がねえ。

 なにか、自分が過去にすげえ徳でも積んで来たんじゃねえかって思うくれえだ。


「先生、いきなりどうしたの?」

 クリスが警戒した顔で聞いて来る。

 俺はクリスをまたぎ越すと頭を軽く叩いた。

「俺の性癖にここまで付き合える奴がいるとは思わなかったって話だ」

 そう言われて、クリスは心底嫌そうな顔をする。

「まさか僕が喜んでやってると思ってるの?」

「違うのか?」

 俺はニヤリと笑った。

「授業だから仕方なくやってるに決まってるじゃないか」

 まあ、本当に嫌々なのは知ってるが、それでも素直に従うのがこいつの可愛いところだ。

 クリスが俺の背中に蹴りを入れて起き上がろうとしたから、足をとってもう一回寝かせといた。

 せっかく倒したからついでにもう一回犯そうとしたら、クリスから抗議の声が上がった。

「もう授業終わってるから!」

「固い事言うなよ」

 そう言いながらも、俺はクリスを解放してやった。


 俺が服を着終えても、クリスはまだ裸でうろちょろしてやがった。

 授業の片付けを手伝ってくれてるんだが、いつも服を着る前にやってるから、犯されたいんじゃねえかと本気で思う時がある。

「なに?」

 俺がじっと見ているのに気付いたのか、クリスがこっちを振り向いた。

「お前は、もうちょっと羞恥心を持った方がいいぞ」

 俺はしみじみと言う。

 こんなんが全裸で動き回ってたら、犯してくれって言ってるようなもんだ。

 俺の前でやるのは大歓迎だが、他の奴の前でやって襲われたら堪らねえ。

 そんな俺の思いを知ってか知らずか、クリスは俺の方を怪訝そうな顔で見て来た。

「先生には言われたくない」

 クリスが口答えして来たから、ほっぺたを横に引っ張ってやった。

「俺にも羞恥心くらいはあるんだよ」

「うひょだ」

 なんか可愛い事になってやがる。

「俺は変態だが露出狂じゃねえからな。ちゃんと終わったら服着てんだろ?」

 顔をのぞき込んでたら、クリスが俺の手を払って来やがった。

 そのままでも良かったんだが、大人しく手を放す事にする。

「それじゃまるで、僕が露出狂みたいじゃない!」

「違うのか?」

「違う! ちょっとルーズなだけだ」

 そう言いながらも、慌てて服を着始めた。

 露出狂と言われるのは、当たりめえだが嫌だったらしい。

「もうちょっと、警戒心を持った方がいいぞ。お前は自分が周りにどう映るのか、もっと考えた方がいいだろうな」

「どうって?」

 服を着終わって、クリスがこっちを見て来た。

「こんなべっぴんが無防備に歩き回ってたら、誰だって犯したくなるんだよ」

「僕だって時と場所をわきまえてるよ」

 クリスが、俺のそばまで来てすねを蹴ろうとしやがった。

 まあ、九歳のガキが俺にかなう筈がねえ。

 俺は逆にクリスの足を軽く払って転ばせておいた。

 クリスは悔しそうに俺を睨んで来やがる。

「じゃあ、他では裸で歩き回ってたりしてねえんだな?」

「シャワーの後は裸でいたりするけど」

「全裸で部屋ん中歩き回ってんのか?」

 俺の言葉にクリスが頷いた。


 いくら自分の部屋とは言え、こいつのところには食事を持って来たりとか人が色々と入って来る。

 入って来る前にインターホンを鳴らすとは言え、こいつがすぐに服を着るとは思えねえ。

「人が来たらどうするんだ?」

「そのまま出るよ?」

 部屋ん中に全裸のクリスと二人きりなんて状況になったら、俺なら間違いなく押し倒す。

「お前のその無自覚なところがまずいって言ってんだよ」

 いくらガキだって言っても、クリスはとんでもねえべっぴんだ。

 俺はこんなべっぴんを今まで見た事はなかったし、多分これからも一生拝む事はねえだろう。

 小児性愛者じゃなくたってムラムラする奴はいっぱいいるってもんだ。

 かくいう俺もその一人だしな。

「いっぺんじっくり自分の顔を鏡で見てみろよ」

 俺は親切心で言ってやってんのに、クリスは全く分かっちゃいねえ。

「自分の顔なんて覚えてるし、僕はナルシストじゃないよ」

 話の方向性がズレて来ちまった。

「もうちょっと、自分の魅力に気付けって話だ」

 クリスは納得いかねえと言う顔をしてやがったが、こればっかりは本当に自覚しねえとまずいだろ。

「まあ、気を付けろ」

「分かった」

 クリスは不承不承と言った感じで頷いた。

 まあ分かってねえと思うがな。


 そんな事をやっていたら、授業が終わってからもう一時間も経っちまってた。

 こんだけ時間があったら、もう一回クリスを襲えてたのによ。

 全く勿体ねえ事をしちまったぜ。

「じゃあな。次の授業まで誰にも襲われるなよ」

 俺が挨拶したら、クリスがキツい目でにらみつけて来やがった。

「じゃあな」

 クリスは俺の真似をしてから教室を出て行った。


 ここに来る迄、散々犯されまくってたのに、自覚がねえとか嘘だろ?

 俺がなんでこんな事を教えなきゃならねえのか、全く意味が分からねえ。

 こいつは本当に前途多難だな。

 俺は盛大にため息をついた。

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