紫の戦士

雨解睦月

紫が春編 その1

 崩れ落ちたビル、折れた街灯、荒れ果てた地面。人が沢山歩いていて、賑わっていた街。何もかもが荒れ果て、狂ってしまった。生徒が沢山いたはずの校舎も、一緒にクラスメイトと勉強していた教室も、何もかも。ガラスが床に飛び散り、机には、天板にヒビが入り、脚が折れ、部品が飛び散ってしまっている。


 廊下を歩き続けていると、何かが壁にぶつかるような音が聞こえてきた。音は、体育館からだった。恐る恐る入り口から中を覗き込んだ。

「きゃ!!」

「蓮!!」

かつて仲間の戦士であった菫は、何者かに憑依され、仲間であるはずの戦士達や私に攻撃を仕掛けてくる。今生き残っている戦士は、ピンク色の瞳を持つ蓮と私だけだった。蓮は、仰向けで倒れていた。私は蓮に駆けつけた。

「あじ...さい...。」

蓮は、力を振り絞るように、私の名前を呼んだ。そして、上半身を起こす。

「大丈夫なの?」

「...多分」

蓮に手を差し出した。蓮は立ち上がろうと私の手に手を重ねて、立ち上がった。

「危ない!」

蓮はそう叫び、押し倒され、私に覆いかぶさる。天井から、水銀灯が落ちてきて、蓮を直撃した。水銀灯は、床をコロコロと転がり、壁にあたった。

「蓮?!大丈夫?!」

「...だい..じょ...う...。」

そう言い、蓮は目を閉じた。私のせいで。まさか、私を庇って...死んでしまうなんて。

「起きて、蓮!!目を開けて!!蓮、蓮、蓮!!」

何度も蓮の名前を叫ぶが、蓮は目を瞑ったままだ。最悪だ。私は、最終的にひとりぼっちになってしまった。私は、立ち上がり、蓮を抱き抱え、隅の方まで、運んだ。蓮の頬を撫でた。

「ありがとう。」

私の涙は、蓮の顔に落ちた。早く、菫を助けなければ。私が殺されたら、他の戦士達が、紫の戦士と戦ってきた事の意味がなくなってしまう。私は、後ろを向き紫の戦士を見つめた。


「ひとりになっちゃったね」

「...菫を、返せ」

「ふふふ、闇よあいつを覆いかぶされ」

紫の戦士は、辺りが真っ暗になる。このままじゃ、闇に飲み込まれてしまう。右手を紫の戦士に向けた。

「水の守りよ」

私がそう叫ぶと、私の周りの闇が水のバリアによって弾かれる。紫の戦士は、力を強くしてバリアを破ろうとしてくる。私も絶対に負けない気持ちを持ち、バリアを強くする。

「さっさと、負けを認めてしまえ」

「負けたくない。あんたを倒して、菫だけでも救うわ」

「諦めろ」

闇の力は水の力より圧倒的に強く、水のバリアはバリンと音を立て飛び散った。その瞬間、私の視界は黒く染まる。


ここで死ぬんだ、私。





ごめんね











さようなら










許して













 やっと目が覚めた。

気が付けば、なぜか私は体育館にいて、紫陽花は仰向けで倒れていた。私は、体を動かそうとしたが何者かに操られているみたいで自分の意思では体を動かせない。歩き始め、倒れている紫陽花の上に跨る。私は紫の水晶を片手で持ち、紫陽花を

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