幻夢

宇佐見 恒木

図書室

「ガリ勉君。今日もここにいたの。」


 君はいつも図書室の一番隅っこでメガネをかけて勉強している。

 今日もここかなって来て正解だった。


「...。」

「もう無視は嫌だな〜。この間のことは許すからさ。」


 ガリ勉君は一瞬動きが止まるとボソッと呟いた。

「...青葉さん。」

「お、反応した。」

「ごめんなさい。」

「...別に良いって。」


 ガリ勉君は無言で泣いた。


 私はそっと後ろから抱きしめた。


 ガリ勉君の体温は暖かった。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る