お婆さん、川へ洗濯に

断る勇気~桃色の桃~

 昔々、あるところに、お爺さんとお婆さんが住んでいました。二人には、朝一番で行う雑事というものがあり、お爺さんは芝刈り、お婆さんは洗濯を担当していました。


 もちろんこのお話撮影日当日も、いつものように芝刈りや洗濯へ行くことになっていました。が、お婆さんの顔が何やら曇っています。

 

 お爺さんは、芝刈りへ行く準備をしながら、お婆さんに問いました。


「ばあさんや、わしは今から芝刈りに行ってくる。ばあさんは今日も洗濯へ行くのかね?」

 

 するとお婆さんは言いました。


「今日、腰痛いから行かへん」


 お婆さんも毎日家事をしているんです。そういう日があってもいいでしょう。毎日毎日お疲れ様です。お爺さんも、たまにはねぎらってあげるべきです。


 一方その頃、お婆さんがいつも洗濯している川では、大きな桃が、どんぶらこ、どんぶらこと、人知れず流れていったのだそうな。

 めでたしめでたし。


 ──誰にも気づかれない桃は、ただの桃だ。by桃太郎


 

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